Letter 生態:理論から種内の遺伝的多様性の不均一な分布を予測する 2004年9月23日 Nature 431, 7007 doi: 10.1038/nature02745 種多様性は地球全体に不均一に分布しており、これが世界規模の生物種保全活動に強く影響を及ぼしている。このことは、生物多様性ホットスポットに重点をおいた保全策で明白である。個々の種内での遺伝的多様性の保全は、環境変動や疾患に直面しても生き残っていくために重要な要因となる。今回我々は、種内多様性もやはり分布が不均一であることを示す。単純な、系統樹を元にしたモデルを使うと、遺伝的な特異性はスケールフリーのべき乗分布となる。この特性は、たとえ個体群がよく混合されている場合でも、多様性のうちの相当大きい割合が小さい分集団に集中していることを意味する。このように小規模な集団が個体群全体の多様性にとって重要となり、これは外部からの摂動がなくても、多様性にはこれらの小規模集団の絶滅によって起こる大きな揺らぎが存在することから分かる。我々はまた、遺伝子流動に対する障壁や過去の移住事象といった外因がなくても、多様性が地理的に不均一(血縁関係の遠い生物間には明確な境界がある場合も含めて)になりうることも示す。我々は系統樹の基本的スケーリング特性を調べてこれらの結果を得た。この理論的成果は、世界各地のPseudomonas属細菌試料から得られた実地データと一致する。この結果は、従来の研究成果に反して、激しい絶滅現象による多様性減少は大きく、遺伝的に特徴のある集団に対し重点的な保全策をとることで多様性の損失がかなり防げることを意味する。 Full Text PDF 目次へ戻る