Article 進化:イトヨの腹びれの進化過程における縮小の遺伝的・発生的基盤 2004年4月15日 Nature 428, 6984 doi: 10.1038/nature02415 後肢の消失は、進化の過程においてさまざまな動物で繰り返し起こっているが、その分子機構は未だにわかっていない。自然界の集団で起こる腹びれの縮小について、その原因となる遺伝的変化の数や種類を明らかにするため、完全な腹びれをもつイトヨと腹びれの消失したイトヨの間で遺伝的交雑を行った。ゲノム全体にわたる連鎖解析から、腹びれの縮小を制御している重要な染色体領域1カ所、重要度の低い領域4カ所が明らかになった。Pitx1は、腹びれの大きさの変動の大半を支配している重要領域上に位置する。腹びれが縮小したイトヨでは、Pitx1ノックアウトマウスで観察されるのと同様な左右非対称性が見られたが、Pitx1タンパク質のアミノ酸配列には変化は見られなかった。しかし、Pitx1の発現の調節が部位特異的に変化しており、腹びれと尾びれの前駆体でPitx1の発現が低下、または消失していた。発生を制御する主要な遺伝子の調節に変異が生じることが、この遺伝子が他の経路で果たす重要な役割を維持しつつ、天然の集団に急激な骨格変化を生じさせるしくみとなっている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る