Letter 生化学:DNAポリメラーゼ ηによるcis-synチミン二量体の選択的バイパスは忠実度に偏りがある 2004年3月4日 Nature 428, 6978 doi: 10.1038/nature02352 ヒトDNAポリメラーゼη(Pol η)は、日光が原因で生じるシクロブタンピリミジン二量体がヌクレオチド除去修復(NER)を逃れた場合に、これを通過するDNA合成を促すことによって皮膚癌感受性を調節している。今回我々は、二量体のバイパスの効率と忠実度を調べた。Pol ηは、損傷を受けていないDNAに比べると、チミン二量体やその周辺塩基を複製する際は処理能力が高く、その後、それほど効率の高くない合成に切り換えることがわかった。Pol ηには合成を行いながら二量体の位置を検出する能力が備わっているために、損傷部のバイパス前後でのポリメラーゼの切り換えが容易になるのかもしれない。Pol ηが二量体をバイパスする際には、5′側チミンよりも3′側チミンの場合に忠実度が低く、誤りの頻度が高い。このような偏りは古細菌Sulfolobus solfataricusのDNAポリメラーゼ4にも見られる。この酵素は、二量体の3′チミンとはワトソン・クリック塩基対をつくるが、5′チミンとはフーグスティーン型の塩基対を形成する。紫外線による突然変異誘発でも、ジピリミジン配列の3′側塩基に変異が生じることが多い。つまり健常者でも、またNERに異常があって二量体が蓄積しやすい色素性乾皮症患者では特に、二量体バイパスの際にPol ηが起こす誤りが変異の発生と皮膚癌の原因となっている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る