Letter 物性:有機スピンバルブにおける巨大磁気抵抗 2004年2月26日 Nature 427, 6977 doi: 10.1038/nature02325 スピンバルブは、磁性材料と非磁性材料(スペーサー)が層状に積み重なったもので、その電気抵抗はこのデバイスを通り抜ける電子のスピン状態に依存するため、外部磁場によって制御できる。金属のスピンバルブにおいて巨大磁気抵抗とトンネル磁気抵抗が発見されたことで、磁気記録や記憶という応用に大変革がもたらされ、スピン電子工学、すなわち「スピントロニクス」という新分野が誕生した。現在は、これらのスピン依存効果を半導体材料に拡張すべく精力的な研究が行われている。しかし、これまで無機半導体を用いたスピン注入や検出には顕著な進歩があったものの、半導体をスペーサーとするスピンバルブデバイスはまだ実現されていない。π共役有機半導体は電子−フォノンカップリングが比較的強く、スピンコヒーレンスが大きいため、半導体スピントロニクス実現のための有望な材料となりうる。今回我々は、有機半導体をスピンバルブ構造のスペーサー層に用いて、スピン偏極キャリヤーの注入、輸送、検出を行い、低温で40%もの大きさの巨大磁気抵抗効果を得た。 Full Text PDF 目次へ戻る