Letter 生化学:細菌のフッ素化酵素の結晶構造と反応機構 2004年2月5日 Nature 427, 6974 doi: 10.1038/nature02280 フッ素は地殻中で13番目に豊富な元素であるが、地表水中のフッ化物濃度は低く、フッ素化された代謝物は非常にまれである。フッ素イオンは脱溶媒和状態では強力な求核性物質であるが、水中では強固に水和されていて実際上不活性である。有用性が低く、化学反応性が乏しいことから、フッ化物が生化学領域でとり扱われることはほとんどなかった。特に、フッ素はその高い酸化還元ポテンシャルのせいで、塩化物イオンや臭化物イオンの代謝的取り込みで使われるハロペルオキシダーゼ型反応機構からは外れてしまう。しかしフッ素化物は医薬、農薬や材料生産に使われて、その工業的重要性は増大しつつある。専門的な処理技術が必要な反応性のフッ素化試薬が産業界では必要とされており、このような処理過程のための生物触媒が熱心に探索されたが、フッ化物を有機フッ素に変換できる酵素が1つだけ報告されたのみである。Streptomyces cattleya は炭素-フッ素結合を形成することができるため、その酵素は水を含んだフッ化物を使うという化学上の難問を解決できるように進化していると考えられる。本論文では、初めて見つかった自然界に存在するフッ素化酵素として、この微生物由来の5′-フルオロ-5′-デオキシアデノシン合成酵素のアミノ酸配列と三次元構造を報告する。基質と生成物の両方とも、酵素に結合している状態が観察され、この生物学的フッ素化反応を行うための求核置換機構を考案することができた。セント・アンドリュース大学(英) Full Text PDF 目次へ戻る