地震が起きたときの地球の地殻内の断層上ですべりに対する抵抗を決定することは、地震の物理過程で未だ解明されていない重要な問題である。地震時のすべりに対する抵抗を知ることは、剪断応力の降下量を推測し、それにより地震が引き起こしうる被害の大きさに影響を及ぼす、地震の際に生じる断層近傍の加速度の大きさを推測するうえで重要である。特に、主要な断層の強度が見かけ上低いことは、長い間解明されていない問題であり、地震の際には摩擦抵抗が低くなることにより起こると考えられている。すべり速度が3 mm s-1までの岩石の摩擦特性、および巨大地震に特徴的なすべり量に対する岩石の摩擦特性について、最近実験室の条件下でシミュレーションがなされた。本論文では、すべり速度が1 mm s-1を越えて増加するにつれて摩擦抵抗が連続的に異常に減少する、石英での実験データについて報告する。この減少のデータを外挿すると、地震時のすべり速度である約1 m s-1では摩擦が零になるが、これは断層面上に薄いシリカゲルの層が形成されるためであると思われる。これにより地震の際に主要な断層で強度が低くなることを説明できるかもしれない。