Letter 進化:タイの中新世後期層で出土したオランウータンの新しい近縁種 2004年1月29日 Nature 427, 6973 doi: 10.1038/nature02245 現生大型類人猿の化石記録は乏しい。したがって、とくに現生ヒト上科のすむ赤道域森林地帯のような未報告地域で新しい化石が見つかれば、大型類人猿の起源や進化を解明するうえで決定的な証拠となる。オランウータンについては2つの主だった競合する説が提案されている。1つは、歯の類似性から、中国南部やタイの中新世中期層で見つかったヒト上科のLufengpithecusが起源だとする説。もう1つは、顔面と口蓋の類似性から、インド−パキスタンのシワリク丘陵で出土した中新世のヒト上科、Sivapithecusが起源だとする説である。しかし歯や顔面以外の材料からは、これらの説の裏づけが得られていない。本論文では、タイの中新世後期層で出土した下顎が新しいヒト上科の新属新種Khoratpithecus piriyaiのものであることを報告する。この化石はオランウータンと共通の特異な派生的特徴をもっていて、他の既知の中新世ヒト上科よりもオランウータンに近縁だと見ることができる。つまり、この化石はこれまで知られるうちで最もオランウータンに近い類人猿だと考えられる。したがってオランウータンの祖先は、中新世後期に温帯かもっと季節型の気候だった中国南部やパキスタンとは違って、現在と同様の熱帯条件下にあったタイで進化を遂げた。 Full Text PDF 目次へ戻る