Letter 細胞:ミトコンドリア膜透過性遷移孔にADP/ATP交換輸送体は不可欠ではない 2004年1月29日 Nature 427, 6973 doi: 10.1038/nature02229 ミトコンドリア内膜の透過性が突然亢進する現象はミトコンドリア膜透過性遷移と呼ばれ、アポトーシスに一般的な現象で、mitochondrial permeability transition pore(mtPTP)を介して起こる。mtPTPはタンパク質複合体で、電位依存性陰イオンチャネル、BAX-BCL2ファミリーに属するアポトーシス促進性あるいは阻害性のタンパク質、サイクロフィリンD、アデニンヌクレオチド(ADP/ATP)交換輸送体(ANT)から形成されると考えられている。ANTはミトコンドリアのATPを細胞質中のADPと交換し、細胞死にかかわるとされている。mtPTP中でのANTの役割を明らかにするために、マウス肝臓の2種類のANTアイソフォームを遺伝子操作によって不活性化し、単離したミトコンドリアでのmtPTPの活性化と、肝細胞での細胞死誘導について調べた。ANTを欠くミトコンドリアでも膜透過性遷移は誘導され、シトクロムcの放出が起こった。しかしmtPTPの活性化には通常より多くのCa2+が必要となり、ANTリガンドではmtPTPの調節ができなくなった。またANTを欠く肝細胞は、さまざまな細胞死誘導物質に応答する能力を保持していた。したがってANTは、mtPTPの調節に関わっているものの、不可欠ではない構造成分であるといえる。 Full Text PDF 目次へ戻る