Letter 植物科学:春化処理にはヒストンメチル化による<I>FLC</I>のエピジェネティックなサイレンシングが必要である 2004年1月8日 Nature 427, 6970 doi: 10.1038/nature02269 望ましい条件で確実に開花できるように、多くの植物は低温が長期間続いた後、すなわち冬を経た後にのみ開花する。シロイヌナズナArabidopsisでは、長期間の低温により開花が促進される春化処理とよばれる現象に、開花を妨げるタンパク質FLCの下方制御がかかわっている。このFLCの発現の低下は、VERNALIZATION(VRN)遺伝子の活性によって生じる結果によりそのままの状態で維持される。VRN1はDNA結合タンパク質をコードし、VRN2は、動物の発生の際に遺伝子のサイレンシングを維持する役割をもつあるポリコーム群タンパク質の相同体をコードしている。今回我々は、FLC遺伝子座内の複数の不連続な領域で春化処理によってヒストンメチル化に変化が起こり、ヒストンH3のリシン9とリシン27のジメチル化が増加することを明らかにする。ショウジョウバエDrosophilaやヒトの細胞では、このような修飾はサイレンシングを受けたクロマチンを示す。H3のK27のジメチル化が起こらなくなるのはvrn2変異体だけだが、H3のK9のジメチル化はvrn1、vrn2両変異体で起こらなくなる。これは、VRN1がVRN2の下流で機能することを示す。このように、冬を経たことのエピジェネティックな記憶は、クロマチンがサイレンシングを受けていることを示す動植物に共通した「ヒストン暗号」が担っている。 Full Text PDF 目次へ戻る