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Cover Story: 脳からの排液:髄膜リンパ管による脳脊髄液からの老廃物除去の障害が認知機能の低下と関連付けられた

Nature 560, 7717 (2018年8月9日)

リンパ管は、体組織が生み出す細胞残屑や有害分子などの老廃物を除去する作業を行っている。J Kipnisたちは今回、脳もこうしたシステムを使っていて、脳脊髄液中の巨大分子老廃物を移動させて、髄膜(脳を包む膜)にあるリンパ管を通して排出することを明らかにしている。彼らは、正常マウスでは、髄膜リンパ系が損なわれると、認識機能が低下することを見いだした。また、加齢によってリンパ系が損傷し、リンパ系の機能を修復すると、「脳の老廃物除去能」が回復し、記憶力が向上することも示された。さらに、アルツハイマー病マウスモデルを用いて、髄膜リンパ管が破壊されると、アミロイドβタンパク質が排出されにくくなって脳に蓄積され、アミロイド病変が悪化することも明らかになった。著者たちは、髄膜リンパ系の衰えを標的にすれば、加齢に関連する認知機能障害と闘うのに役立つ有用な治療手段となる可能性があると述べている。

Nature 著者インタビュー

柳沢 正史氏

混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

“ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

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