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恒星質量ブラックホールのジェットは宇宙線源か

マイクロクェーサーもその一種である「X線連星」の想像図。X線連星は、ブラックホール(あるいは中性子星)と恒星の連星で、強いX線を放っているものだ。恒星(左上)からブラックホールに落下するガスの一部が細くジェットとして両側に噴き出している。 Credit: Mark Garlick/Science Photo Library/Getty

高エネルギーの宇宙線の起源はいまだに謎だが、アフリカのナミビアにある「ヘス望遠鏡」(HESS)を使って研究している研究グループが、銀河系(天の川銀河)内の恒星質量ブラックホールからのジェット(天体に落下するガスの一部が細く噴出する現象)を観測し、テラ電子ボルト(TeV、1TeVは1012電子ボルト)レベルの非常に高エネルギーのガンマ線が出ている場所を正確に突き止めた。分析の結果、高エネルギーのガンマ線は加速された高エネルギーの電子から生じていると考えられ、ジェットの途中に電子を高エネルギーに加速する機構が存在するとみられることが分かった。この研究結果は、こうしたジェットを伴う天体が、宇宙線の銀河系内の発生源の候補であることを間接的に示すものとみられている。

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翻訳:新庄直樹

Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 5

DOI: 10.1038/ndigest.2024.240507

原文

Black-hole observations solve cosmic-ray mystery
  • Nature (2024-01-25) | DOI: 10.1038/d41586-024-00223-4
  • Davide Castelvecchi