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最初の心拍を調整する

計算モデルと生きたゼブラフィッシュ胚を用いた実験技術の見事な組み合わせにより、心臓がリズミカルで組織化された拍動を開始する仕組みが明らかになった。

ヒトの心臓は一生の間に25億回以上鼓動する。しかし、心臓の最初の拍動はどういう仕組みで起こるのだろうか？　100年以上前のニワトリ胚の研究からマウスを使った最近の研究1まで、これまでの研究から、最初の拍動は、原始心筒（心臓の発生過程で最初に形成される機能的構造）が形成される前でさえも生じることが明らかになっている。また、拍動に先立ってカルシウムイオン（Ca2+）の一過性放出が起こることも知られている。この放出は、最初はCa2+濃度の自発的な非同期的変動として現れる2–4。Nature 2023年10月5日号の149ページでは、ハーバード大学およびハーバード大学医学系大学院（米国マサチューセッツ州ボストン）のBill Z. Jiaら5が、ゼブラフィッシュ（Danio rerio）胚のユニークな特性（体外受精、光学的透明性、遺伝子改変のしやすさなど）を利用して、Ca2+波がどのように組織化されて発生中の心臓全体に伝播（でんぱ）し、最初の心拍を引き起こすかをin vivoで調べ、その結果を報告している。

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翻訳：古川奈々子

Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 1

DOI: 10.1038/ndigest.2024.240140

原文

Coordinating the first heartbeat
  • Nature (2023-10-05) | DOI: 10.1038/d41586-023-02938-2
  • Joshua Bloomekatz & Neil C. Chi
  • Joshua Bloomekatzはミシシッピ大学（米国）に所属。 Neil C. Chiはカリフォルニア大学サンディエゴ校（米国）に所属。

参考文献

  1. Tyser, R. C. V. & Srinivas, S. Cold Spring Harb. Perspect. Biol. 12, a037135 (2020).
  2. Hirota, A., Kamino, K., Komuro, H., Sakai, T. & Yada, T. J. Physiol. 369, 209–227 (1985).
  3. Nishii, K. & Shibata, Y. Anat. Embryol. 211, 95–100 (2006).
  4. Tyser, R. C. V. et al. eLife 5, e17113 (2016).
  5. Jia, B. Z., Qi, Y., Wong-Campos, J. D., Megason, S. G. & Cohen, A. E. Nature 622, 149–155 (2023).
  6. Ren, J. et al. Dev. Cell 50, 729–743 (2019).
  7. Bressan, M., Liu, G. & Mikawa, T. Science 340, 744–748 (2013).
  8. Hirota, A., Kamino, K., Komuro, H. & Sakai, T. J. Physiol. 383, 711–728 (1987).
  9. Arrenberg, A. B., Stainier, D. Y. R., Baier, H. & Huisken, J. Science 330, 971–974 (2010).
  10. Antzelevitch, C. & Burashnikov, A. Card. Electrophysiol. Clin. 3, 23–45 (2011).