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必要なのは怒りではなく平等: 科学界の女性嫌悪を終わらせよう

上級職の女性科学者は、リーダーとして許容される行動から逸脱しないように綱渡りの日々を送っている。 Credit: Klaus Vedfelt/Getty

科学界は、上級職における多様性の反映、中でも女性の登用という点で、ゆっくりではあるがそれなりに前進してきた。英国を例にとれば、教授に占める女性の割合は2000年には12.6%だったが、2021年には28%まで増加している。しかし、いくつかの科学研究機関で上級職を務めてきた著者2人の実感としては、女性は男性と同等には扱われていない。女性上級職の日常は、マイクロアグレッション(訳註:日常の何気ない言動の中に疎外された集団に対する偏見を意識的または無意識ににじませて、そのメンバーを傷つけること)、感情労働、外見に関する指摘、実績に対する批判など、試練に満ちていて、心の健康がじわじわと損なわれ、科学者としてのキャリアを断念することまで考えるようになる。そう言う私たちは特権的な背景を持つ白人女性であり、有色人種の女性研究者にとっては、ミソジニー(女性嫌悪:ここでは、女性に対する意識的または無意識の偏見と定義)の影響がしばしば桁違いに深刻であることを知っている。実際、グローバルノースの研究機関では、有色人種の女性研究者の人数が少なかったり、より低い地位に置かれていたりすることが多い。

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翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 10

DOI: 10.1038/ndigest.2023.231032

原文

Don’t get mad, get equal: putting an end to misogyny in science
  • Nature (2023-06-26) | DOI: 10.1038/d41586-023-02101-x
  • Alison Bentley and Rachael Garrett
  • Alison Bentleyは、植物遺伝学者で、国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT、メキシコ・テスココ)の世界コムギプログラム長。Rachael Garrettは、地理学者で、ケンブリッジ大学(英国)の保全・開発教授。

参考文献

  1. Rosser, S. V. The Science Glass Ceiling: Academic Women Scientists and the Struggle to Succeed (Routledge, 2004).
  2. Salerno, J. M., Peter-Hagene, L. C. & Jay, A. C. V. Group Proc. Intergroup Rel. 22, 57–79 (2019).
  3. National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. Sexual Harassment of Women: Climate, Culture, and Consequences in Academic Sciences, Engineering, and Medicine (National Academies Press, 2018).
  4. Danna, K. & Griffin, R. W. J. Mgmt 25, 357–384 (1999).
  5. Edwards, M. et al. Gender Work Organ. https://doi.org/10.1111/gwao.12905 (2022).