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治療法改善のための最善の戦略とは

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150228

原文:Nature (2014-11-13) | doi: 10.1038/515200a | The best way forward

Lisa M. Monteggia, Robert C. Malenka & Karl Deisseroth

うつ病の研究には、抑うつ様行動を示す従来からのマウスモデルがよく使われているが、ヒトのうつ病の全体像を従来のマウスモデルで完全に把握することは不可能である。このフォーラムでは、治療法の改善を目指した戦略について、専門家たちが提案する2通りの見解を紹介する。

現状の簡単なまとめ

  • うつ病は、最も多く見られる精神疾患の1つである。
  • うつ病治療薬の開発はこの数十年にわたって行き詰まったままである。
  • 即効性を発揮する既知の抗うつ剤の作用機序を解明することで、より有効な治療法の開発が進む、とする考え方がある。
  • 一方で、治療薬開発の前進には、うつ病の症状に関係する神経回路の解明が最も重要だ、とする考え方もある。

治療を第一に考えよう

LISA M. MONTEGGIA

現在使われている抗うつ剤は、シナプスにおいて神経伝達分子であるモノアミンの量を増やすことで効果を発揮している。シナプスとは、ニューロン間やニューロンと他の細胞種の間に形成される接合部位で、ここで神経伝達分子の受け渡しが行われる。抗うつ剤の投与が始まるとモノアミン値はすぐに変化するが、臨床上の効果が現れるまでには通常、数週間かかる。さらに、これらの抗うつ剤は一部の患者には効果があるが、他の患者(特に、自殺リスクの高い患者)には効果がない。そのため、即効性で副作用の少ない抗うつ剤の開発が急務となっている。現在、多くの研究者が、うつ病に関係する神経回路を見つけ出すための「うつ病に似た特徴を持つモデル」の作製に取り組んでいる。しかし私は、より有効な抗うつ剤を設計するには、即効性で効果的な抗うつ剤の生理作用機構を解明することがより重要だと考える。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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