Nature ハイライト
		
		
        
		
		細胞生物学:ユビキチンの新たな性質
Nature 594, 7861
ユビキチンタンパク質の付加による翻訳後タンパク質修飾は、細胞内のタンパク質の量や活性を調節するための広く見られる方法である。タンパク質のユビキチン化によって影響を受ける細胞内過程は多いが、その中の1つは、侵入した細菌に標識を付け、抗菌オートファジーによって分解させるというものである。今回F Randowたちは、ユビキチン化によって標識される細菌タンパク質を探索する中で、細胞質ゾルに侵入したサルモネラ菌(Salmonella)でユビキチン化される基質は、タンパク質ではなく細菌の持つリポ多糖の脂質部分であることを見いだしている。彼らはさらに、サルモネラ菌の脂質のユビキチン化が細胞自律的免疫を引き起こす分子機構の概要も調べ、これに関係するE3ユビキチンリガーゼが、もやもや病(脳卒中、特に小児の脳卒中の原因となる)のリスク因子であるRNF213であることを明らかにした。この研究によって、ユビキチン化修飾される可能性のある他の非タンパク質性基質の発見が促進されるだろう。
2021年6月3日号の Nature ハイライト
- 天体物理学:銀河系内の12個の線源からの超高エネルギー光子
- 物性物理学:モアレ・トリオン
- 材料化学:正孔輸送材料用のドーピング処理を簡単に
- 生態学:湖沼の酸素濃度の低下
- 食物学:サハラ以南のアフリカにおける穀粒の微量栄養素量に関する地域レベルの調査
- コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイクを介した細胞間融合に関わる機構
- 神経免疫学:紫外線で損傷した皮膚におけるニューロンによる組織修復の調節
- がん:AIで腫瘍の起源を見つけ出す
- 細胞生物学:ユビキチンの新たな性質
- 分子生物学:アンチセンスRNAが持つ調節機能
- 構造生物学:遺伝子転写を開始する


