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細胞生物学:ユビキチンの新たな性質

Nature 594, 7861

ユビキチンタンパク質の付加による翻訳後タンパク質修飾は、細胞内のタンパク質の量や活性を調節するための広く見られる方法である。タンパク質のユビキチン化によって影響を受ける細胞内過程は多いが、その中の1つは、侵入した細菌に標識を付け、抗菌オートファジーによって分解させるというものである。今回F Randowたちは、ユビキチン化によって標識される細菌タンパク質を探索する中で、細胞質ゾルに侵入したサルモネラ菌(Salmonella)でユビキチン化される基質は、タンパク質ではなく細菌の持つリポ多糖の脂質部分であることを見いだしている。彼らはさらに、サルモネラ菌の脂質のユビキチン化が細胞自律的免疫を引き起こす分子機構の概要も調べ、これに関係するE3ユビキチンリガーゼが、もやもや病(脳卒中、特に小児の脳卒中の原因となる)のリスク因子であるRNF213であることを明らかにした。この研究によって、ユビキチン化修飾される可能性のある他の非タンパク質性基質の発見が促進されるだろう。

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