Nature ハイライト
		
		
        
		
		食物学:サハラ以南のアフリカにおける穀粒の微量栄養素量に関する地域レベルの調査
Nature 594, 7861
サハラ以南のアフリカでは、今なお微量栄養素欠乏が広く見られる。その原因には微量栄養素の摂取不足があり、特に、食餌が穀類中心で、より栄養に富む動植物由来の食物の入手が制限されている地域で顕著である。今回M Broadleyたちは、エチオピアおよびマラウイにおいて、主要食用作物の微量栄養素組成(カルシウム、鉄、セレン、亜鉛)の空間的変動を全国規模でマッピングした。調査対象となったのはエチオピアの1389地域およびマラウイの1813地域で、両国の穀類生産地域の大半がカバーされている。得られた地図から、両国において、穀粒のカルシウム、鉄、セレン、亜鉛の濃度の長距離にわたる空間依存的な変動が見いだされた。穀粒のセレン濃度および亜鉛濃度の変動は、土壌および環境の共変量と関係していた。また、両国において、穀粒作物のセレン濃度(十分な食餌摂取量データが利用可能な唯一の微量栄養素)と食餌摂取量の間に明確な正の関係が認められた。こうした地域レベルの穀粒微量栄養素組成データは、微量栄養素欠乏を緩和するための短期的介入への情報提供に役立つ可能性があると、著者たちは述べている。
2021年6月3日号の Nature ハイライト
- 天体物理学:銀河系内の12個の線源からの超高エネルギー光子
- 物性物理学:モアレ・トリオン
- 材料化学:正孔輸送材料用のドーピング処理を簡単に
- 生態学:湖沼の酸素濃度の低下
- 食物学:サハラ以南のアフリカにおける穀粒の微量栄養素量に関する地域レベルの調査
- コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイクを介した細胞間融合に関わる機構
- 神経免疫学:紫外線で損傷した皮膚におけるニューロンによる組織修復の調節
- がん:AIで腫瘍の起源を見つけ出す
- 細胞生物学:ユビキチンの新たな性質
- 分子生物学:アンチセンスRNAが持つ調節機能
- 構造生物学:遺伝子転写を開始する


