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卵母細胞の老化:卵母細胞の老化過程で二本鎖切断発生率が高いゲノム領域に生じる生殖細胞系列de novo変異クラスター

Nature Genetics 50, 4 doi: 10.1038/s41588-018-0071-6

変異が多く存在する領域である変異クラスターの存在は、がんゲノムに加え、生殖細胞系列のde novo変異(DNM)においても観察される。本研究では、DNMのパターンや変異機構を解明するために、両親と子から構成される三人組を対象にした1291組の全ゲノム塩基配列決定データを解析し、クラスターを形成するDNM(cDNM)を1796個突き止めたので報告する。そして、母系の対立遺伝子上の変異クラスター数は、母親の年齢と正の相関があること、また、母系の変異クラスターは父系の変異クラスターと比較して、より多くの変異から構成され、また各変異の間の距離が長いことが分かった。母系の変異クラスターの50%以上が第8染色体、第9染色体、第16染色体に位置しており、これまでの研究から、これらの領域では母系変異率が増加していることが分かっている。これらの領域の母系の変異クラスターでは、C > Gトランスバージョンが特徴的な変異シグネチャーを示した。また、母系の変異クラスターは、減数分裂での遺伝子変換やde novo欠失のような、二本鎖切断(DSB)が関与する過程に関連することも分かった。この結果から、卵母細胞の老化過程を通じてDSBに誘発される変異の蓄積が、母系の変異クラスター形成の原因となる機構と考えられた。

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