2011年10月号Volume 8 Number 10

禁煙すると肥満になる理由

スリムな体型が求められる俳優やモデルの間では、肥満への恐怖から禁煙できない人も多いという。実際、10kg以上の体重急増も珍しくない。こうした中で、今回、マウス実験ではあるが、ニコチンが食欲抑制効果を及ぼす脳内分子標的「MC4受容体」が明らかになった。ニコチンは、視床下部のPOMCニューロン上の別の受容体を活性化し、そこからMC4受容体を活性化、食欲を抑制する。一方、逆に作用する神経経路もあって、それが食事制限による減量でリバウンドしやすい原因となっている。

Editorials

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News

火星の水をめぐる物語が、よりみずみずしく、ピリッと、おもしろいものになってきた。

月の表と裏が異なっているのは、太古にあったもう1つの月が衝突したためかもしれない。

子どもに発生する奇病「頷き症候群」の調査が進められているが、解明の手がかりはまだほとんどない。

ボルネオ・レインボー・トード(Ansonia latidisca)という派手なカエルが、 1920年代以降では初めて、つまり約90年ぶりに観察され、その姿がカメラにとらえられた。

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News Features

高温超伝導の発見から四半世紀が経過した。しかし、あれだけの大騒ぎにもかかわらず、この種の材料がいかにして超伝導状態となるのか、その機構はなお未解明のままだ。

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Japanese Author

生殖細胞の本質は、次世代の個体を作り出せるところにある。そう喝破した斎藤通紀氏は、生殖細胞の役割と機能が体内で作られていく過程を理解したいと考えた。そのために、まず ES細胞やiPS細胞を利用して生殖細胞のもととなる始原生殖細胞を作り出し、次に精子を作り、それが機能して健康なマウスが生まれるところまで実証した。

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News & Views

3.11東北地方太平洋沖地震の観測データは異例なほどよくそろっているため、早くも、地震前、地震時、地震後の地殻変動の詳細が明らかになってきた。その一方で、地震と津波の危険を評価するためのモデルは、完成にはほど遠い水準にある。

太りたくないので喫煙している人、肥満への恐怖で禁煙できない人は多い。今回、禁煙と肥満の経験則を裏付ける成果が得られた。マウス実験ながら、ニコチンが食欲を抑制する仕組みと関係している脳内分子標的が特定されたのだ。過体重防止へ一歩前進と言える。

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