2010年1月号Volume 7 Number 1

Editorials

熱い期待をかけられた遺伝子治療は、期待どおりの成果が得られないことがわかり、急速に関心が薄れていった。その後の進歩はほとんど注目されていない。しかし、いまの社会に浸透している幻滅感は、決して正しくない。

創刊記念日にあたり、過去を振り返り現在を認識するとともに、それを足場として、未来に目を向けていきたい。

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Research Highlights

細胞はどのようにして移動していくのだろうか? これは生物学の最も基本的な問題の1つだ。今回、あるコンピューター・モデルによって、繊維状のタンパク質の成長が、ある種の細胞の遊走を駆動しうる力を発生する仕組みが記述された。

ヒトやゾウやアザラシは音声を模倣することができる。ではコウモリはどうなのだろう? 以前から、この空を飛ぶ哺乳類にも音声模倣の能力が備わっていると考えられていたが、ドイツのエルランゲン-ニュルンベルク大学のMirjam Knornschildらの研究チームは、今回、その証拠をつかもうと試みた。

光学レンズも音響レンズも、その分解能には限界がある。その理由は、回折による限界があるためで、従来のレンズでは、波長の約半分よりも小さい物体の像を得ることは不可能である。

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News

ゲノムの解析を通じてヒトの遺伝的多様性を探る『1000人ゲノム計画』から、ようやく報告が届きはじめた今、ある国際的なグループが、さらに野心的なプロジェクトを計画している。

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News Features

H1N1新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)に対して全世界が緊急体制をとっている今、研究者たちも、このウイルスに関する差し迫った問題に答えを出そうと努力している。米国の疾病管理予防センター(CDC)の病理学者たちは、新型インフルエンザウイルスが死をもたらす仕組みを調べている。ニューヨークのある研究室では、感染が広まる仕組みを調べている。フランスのあるバイオセーフティーレベル4(BSL-4)施設では、新型インフルエンザウイルスがH5N1鳥インフルエンザウイルスと遺伝子再集合を起こす可能性を調べている。

神経外科医はヒトの脳に最も近づくことができる人たちだ。彼らは基礎研究者とチームを組んで、脳の何が「人間らしさ」をもたらすのか、解明しようとしている。

「賢いマウス」がすでに30系統以上も作り出されている。この成果は、人間の脳をパワーアップさせる可能性とともに、認知能力の強化が代償を伴う危険性も教えている。

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News & Views

細菌を使った進化の実験が20年以上、4万世代にわたって行われている。現在までの結果からは「新世界」の一端がうかがわれ、喜ばしいことではあるが、一方で懸念も生じている。

巨大な土星の環が発見された。この環は塵が集まってできたもので、惑星に付随する環としては最大のもの。今回の発見は、太陽系の謎の1つを解き明かすカギを握っている。

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Special Report

2009年12月、日本で開催された第5回 Nature メンター賞受賞者には、「面倒見のよい指導者」ではなく「新しいサイエンスを切り開く異端者」が選ばれた。

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英語でNature

コンピューターの処理情報は、近年、驚くほど増大しています。増え続ける情報に対し、電荷輸送を利用した既存の半導体素子では、処理能力に限界があります。そこで期待されているのがスピントロニクスです。しかし、その基本となる電子スピンの制御は、一筋縄ではいかず、半導体では超低温でしか確認されていませんでした。今回、室温で初めてシリコンでのスピンの制御に成功し、いよいよスピントロニクスデバイスの実用化が現実味を帯びてきました。

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