2009年11月号Volume 6 Number 11

Research Highlights

宝石として愛される真珠は、軟体動物である貝類の体内でつくられる。こうした貝殻の内側もまた虹色の光沢を放っており、いずれも、微細な層状構造をした「真珠層」が光を散乱することによって、私たちの目を楽しませている。この構造は、有機物の層の中で、炭酸カルシウムからなる「あられ石(アラゴナイト)」の結晶が整列してできたものである。このほど、東京大学の長澤寛道とその同僚たちは、真珠層形成のカギとなる2種類のタンパク質を発見した。

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News

1キログラムという量をキログラム原器に頼らずに定義する研究に、「ワット天秤」という実験装置が使われている。実際にその研究に役立つほど高い精度を実現しているワット天秤は、現時点では世界で2台だけだ。そのうちの1台がこのほど、ワット天秤の生まれ故郷である英国からカナダに売却されることになり、ばらばらに分解され、輸送された。

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News Features

ドイツ・マウスクリニックに入院する「患者」は、世界一高度な医学的検査を受けられる。ところが最近、順番待ちのリストが長くなり始め、問題となっている。Alison Abbottが、現状を取材した。

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Japanese Author

私たちの免疫系は病原性微生物による感染を防いでいるが、一部の細菌やウイルスは、この防御系を巧みにかわす戦術を用意している。東京大学医科学研究所細菌感染分野の笹川千尋教授らは、病原菌のリステリアが、オートファジーという感染初期に発動される生体防御機構を巧みに回避している仕組みを突き止めた。

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News & Views

浮イネは、水田が冠水すると、茎を上に伸ばして生き残る。冠水に対するイネの応答の遺伝的背景を知ることは、稲作の生産性の向上に役立つだろう。

1986年のある論文で「ゾウのように銀河は長期にわたって記憶を保ち続ける」と記載された。このまさに「銀河の記憶」から、私たちのお隣のアンドロメダ銀河の歴史について、意外な事実が明らかになった。

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News & Views Q&A

水素は、石油に代わる無公害の合成燃料として、特に輸送分野での利用が期待されている。その実用化には、特に、水素貯蔵材料を開発する必要があるが、いよいよ数年後には最初の水素自動車が市販されるかもしれない。

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Opinion

Charles Doolittle Walcottがカナダ・ブリティッシュコロンビア州のロッキー山脈で大量のカンブリア化石を発見してから、今年で100年。その化石が分類されるまでの多難な道のりを、Desmond Collinsが振り返る。

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英語でNature

原始地球では、大気中には酸素はほとんどなかったと考えられています。では、現在の大気中の酸素は、どのようにしてできたのでしょうか。今回取り上げたストロマトライトを形成するシアノバクテリアは、約30億年前から酸素を作り続け、地球に酸素を供給しています。こうした生物のおかげでオゾン層が形成され、有害な紫外線が地上に届かなくなり、陸上生物の繁栄がもたらされたのです。オゾンホールの形成が問題になっている今、この恩恵を無にしないよう、考えたいものです。

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