2009年10月号Volume 6 Number 10

Editorials

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Research Highlights

ミシシッピ・デルタが水没しつつある。これを回避するため、ミシシッピ川の流れを変えて、海岸地域まで土砂を運搬・堆積させようという提案がなされている。しかし、新たな研究によれば、デルタを形成する河川が運搬している土砂の量は少なすぎ、予測されている海面上昇に対抗できないという。

人間の近くで暮らす野良犬では、その土地固有の犬の遺伝子と外部から持ち込まれた遺伝子が複雑に混じり合っている。こうした半野生の犬の遺伝子分析から、人間の最もよき友人である犬の起源が明らかになるかもしれない。

ミツバチがスズメバチを殺すときには、熱のほかにガスも利用することが明らかになった。ニホンミツバチ(Apis cerana japonica)にとって、オオスズメバチ(Vespa mandarinia japonica)は恐ろしい天敵だ。しかし、小さなミツバチは、巣を襲ってきたスズメバチの周囲に大勢で群がり、自分たちの体で「蜂球」という塊を作って応戦、ものの数分でこの天敵を殺してしまう。

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News

アポロ計画は多くの人々を科学の道に誘った。今日、科学者は有人宇宙飛行を支持する一方で、その費用にたじろいでいる。Natureが実施したアンケート調査の結果をRichard Monasterskyが報告する。

「氷床コア」は極地や氷河の氷床から掘削・採取された氷の柱であり、過去の地球気候を知るうえで不可欠な研究試料である。この貴重な試料の保存には、上等なマグロの冷凍保存に使われるようなぜいたくな貯蔵施設が必要だ。こう欧米の研究者らが訴え、建設資金を求めている。

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News Features

オゾン層破壊の問題を解決すべく策定されたモントリオール議定書では、地球温暖化については考慮されていなかった。しかし、2つの環境問題は、複雑な形で密接に関係している。

アフリカのキブ湖には大量のガスが含まれている。しかし今、そのガスのためにこの湖は危険であると同時に価値あるものになっている。災害を引き起こさずにガスを抜き出して利用することは可能なのだろうか。Anjali Nayarが取材報告する。

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Japanese Author

国連気候変動枠組条約の締約国会議(Conference of Parties: COP)を12月に控え、地球温暖化防止策についての議論が各国で熱を帯びてきた。今回は、1997年に批准された京都議定書に書かれていない2013年以降の目標を決定するということで、特に注目が集まっている。コンピュータを使った温暖化予測の専門家である国立環境研究所の江守正多博士に、気候変動科学の客観性と政策との兼ね合い、社会とのコミュニケーションの重要性について話を聞いた。

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News & Views

p53タンパク質のコアドメインが、マイクロRNAのプロセシングに影響を及ぼすことがわかった。これはp53についてわかった第三の抗がん活性である。発がん性のp53変異のほとんどはコアドメインに影響を及ぼしており、そのためにすべての腫瘍抑制機能が失われる可能性がある。

一部の豊かな国々では、出生率の低下による人口の減少が深刻な問題になっている。これまで、国が豊かになるほど出生率は低下すると考えられていたが、今回、経済や社会が一定の水準以上に発展した国々では、出生率が上昇に転じる傾向があることが明らかになった。これは、国の政策にも関係してくる驚くべき発見である。

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Essay

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News

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英語でNature

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