Volume 19 Number 10

腸内細菌はがん治療を強化できるか

患者自身の免疫系を解き放つがん免疫療法。強力な治療法だが、がんは抵抗性を獲得する。この抵抗性の打破に役立つと期待を集めているのが腸内細菌だ。免疫療法が奏効した人や健康な人の腸内マイクロバイオーム、つまり糞便を患者に移植したところ、一部の人では治療の効果が強化されたのだ。現在、がんとマイクロバイオームとの関係に照準を定めた複数の臨床試験で検証が進められている。

目次

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欧州の大胆な研究評価構想を支援しよう

欧州の大胆な研究評価構想を支援しよう

現行の研究評価の実施でもたらされたゆがんだ影響に抗うため、これまでに数多くの取り組みがなされてきた。最新の取り組みは、成功しそうに思われる。

オミクロン株感染者の呼気中のウイルス量は多い

オミクロン株感染者の呼気中のウイルス量は多い

新型コロナウイルス変異株の感染者は、起源株感染者よりも呼気に排出するウイルスRNA量が多く、あるオミクロン株感染者は、アルファ株やデルタ株感染者の1000倍多く排出していた。

100年以上謎に包まれていた4億年前の脊椎動物の正体

100年以上謎に包まれていた4億年前の脊椎動物の正体

しっかりした背骨があるものの、歯がなく鰭(ひれ)もない、わずか5cmの魚。1世紀以上前から数千体の化石が発見されていたパレオスポンディルスは、奇妙な形態故に、どの脊椎動物の仲間か謎のままだった。その頭骨の化石を精密に解析した平沢達矢・東京大学大学院理学系研究科准教授らは、この魚が「魚類から陸上脊椎動物への移行段階」に位置する動物であると突き止めた。

Željko Zgrablić

Željko Zgrablić

Željko Zgrablićは、ルジェル・ボスコビッチ研究所(クロアチア・ザグレブ)の野外菌類学者。

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AMEDが企業所属経験のある評価委員候補者を募集中

AMEDが企業所属経験のある評価委員候補者を募集中

医療分野の研究開発において、アカデミア発のシーズを円滑に実用化へと結び付けていくことは極めて重要である。各シーズを実用化に結びつけるために、研究開発課題の評価を行う人材として、企業に所属する研究者、あるいは所属していた研究者に期待が寄せられている。AMEDは、このような企業所属経験のある評価委員候補者を、特設ウェブサイトAMED-Meetsを通じて募集している。

Research Highlights

リサーチハイライト

リサーチハイライト

「海洋の塩分濃度から遠方の平野の豪雨を予測」「オレンジの繊維の中の栄養素が代謝を高める」「夜勤時の医師は鎮痛薬の処方が少ない」「昆虫は『生命の木』から広く遺伝子を盗んでいた」「免疫細胞でがんに先制攻撃」、他。

News in Focus

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡から届いた絶景画像

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NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が約6カ月にわたる準備期間を経て、科学ミッションを開始。早速公開された息をのむ光景と貴重なデータの数々に、天文学者たちは期待を大きく膨らませている。

一塩基編集による遺伝子治療の臨床試験が始まる

一塩基編集による遺伝子治療の臨床試験が始まる

CRISPRよりも精密なゲノム編集技術による画期的な遺伝子治療の臨床試験が始まった。

異例の3年連続ラニーニャ

異例の3年連続ラニーニャ

東太平洋の海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」が2020年から続いている。気象学者たちは、ラニーニャは2022年の冬も終息せずに3年目に突入し、洪水と干ばつのリスクが高まるかもしれないと警告している。

フィールズ賞2人目の女性受賞者、マリナ・ビヤゾフスカ氏インタビュー

フィールズ賞2人目の女性受賞者、マリナ・ビヤゾフスカ氏インタビュー

8次元の球充塡問題を解決したことで知られる ウクライナ人数学者、マリナ・ビヤゾフスカ氏に数学分野最高の賞の1つであるフィールズ賞が贈られることが、2022年7月5日に発表された。

北極地方での気候学研究にウクライナ侵攻の影響

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北極地方での気候学研究にロシアのウクライナ侵攻が深刻な影響を与えており、科学者たちは対策を模索している。

蚊の好むにおいを宿主に放出させるウイルス

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ジカ熱とデング熱の原因ウイルスは、宿主の遺伝子を操作し、蚊を誘引する分子の放出量を増やしていることが分かった。

英国でポリオウイルス検出

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ロンドンでワクチン由来のポリオウイルスが広がっている可能性がある。ポリオの予防接種は今もなお、世界中で必要だ。

AIによる二酸化炭素排出量を小さくする

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AIの訓練に伴う二酸化炭素排出量データが算出された。このデータは環境コストの削減に役立つと期待される。

Feature

腸内細菌はがん治療を強化できるか

腸内細菌はがん治療を強化できるか

がん免疫療法に対する抵抗性の打破に、便移植が役立った例がある。がんとマイクロバイオームとの関係に照準を定めた臨床試験は現在、数十件に及ぶ。

News & Views

鉄–硫黄クラスター錯体の鉄原子が窒素を還元

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窒素分子を生物が利用可能な形態へと「固定」する酵素は、活性部位に鉄原子と硫黄原子を含む特異なクラスターを持つ。今回、このクラスターを模倣した人工分子で窒素の還元反応が実現され、窒素固定の反応機構に光が当てられた。

長寿命の卵細胞の自己防衛戦略

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卵細胞は、次世代を不都合な変異がなく健康な状態に保つために、有害な影響が及ばないようにする必要がある。今回、卵母細胞が、有害な活性酸素種による損傷を回避する機構が発見された。

がん細胞は睡眠中に転移しやすい

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血流に乗って移動するヒト腫瘍細胞の分析から、命取りとなり得るがんの転移は、睡眠中に起こりやすいことが分かった。この発見は、がんの治療にどのような影響を与えるだろうか?

染色体の核内での位置が分離異常に影響する

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単一細胞解析から、細胞核内での染色体の三次元的な位置が、がんに関連するゲノム再編成が起こる可能性に影響を及ぼすことが示唆された。

仔マウスの口から母親へのノロウイルス感染

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授乳時に仔マウスから母マウスへ唾液を介して、感染性胃腸炎ウイルスが伝播することが発見され、これまで認識されていなかったウイルス複製部位と感染手段が明らかになった。

Advances

タマムシの目くらまし防御

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玉虫色の変化は身を隠すのと脅しの両方に働いている。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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