2021年4月号
Feature: 稀な接触感染、続く徹底消毒
SARS-CoV-2が物体の表面に長時間残存し得ることは確かだが、表面を介した接触感染はCOVID-19の主要な伝播経路ではないことが示されている。ではなぜ、我々はいまだに徹底的な消毒行為を続けているのか。
Feature: 科学を変えた10のコンピューターコード
Fortranからプレプリントアーカイブまで、プログラミングとプラットフォームの進歩は、生物学、気候科学、物理学を新たな高みへと導いた。
2021年3月号
Feature: COVIDワクチンの短期開発が今後のワクチン開発にもたらすもの
SARS-CoV-2対策のためにとられたスピーディーなアプローチは、ワクチン科学の未来を変えるかもしれない。
Feature: 水のパラドックスと生命の起源
水は、生命にとって欠かすことのできない物質である半面、DNAやその他の重要な分子を分解してしまう。地球で最初に生まれた細胞は、危険だが不可欠なこの物質に、どのように対処していたのだろうか?
2021年2月号
Feature: 微生物感染がアルツハイマー病の引き金に?
微生物と認知症の発症とを結び付ける考え方は、数十年前からあったが、主流から外れるとされた。しかし今、研究者たちは、この関係を探り始めている。
2021年1月号
Feature: Alexa、私、いま病気?
声をスマートフォンのアプリに聞かせるだけで、COVID-19や認知症、うつ病などに罹患しているかどうかが分からないだろうか。音声に現れる疾患の「マーカー」を使って医師の診断を助ける方法が探られている。
2020年12月号
Feature: コロナウイルスの変異を理解する
SARS-CoV-2のさまざまな株は、今のところ、パンデミックの経過に大きな影響を与えていない。だが、 免疫反応をすり抜ける可能性は否定できない。
Feature: 遺伝子系図を使った犯罪捜査への期待と懸念
DNAに基づいた系図分析で犯罪者プロファイリングに協力し、異論の多いこの分野で名声をつかんだ法遺伝学企業パラボン・ナノラボ。その後の規制や競合企業の登場で、同社はその勢いをそがれてしまった。
2020年11月号
News Feature: 再開の道を模索する大規模大学
米国では、現在も多くの州で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている。そうした中、大学は数百万人の学生をキャンパスに迎え入れようとしていて、キャンパス内外の感染制御に、独自の検査やアプリなどを導入した大学もある。
News Feature: 動物は実際、何を考えているのか
神経科学者たちは、おびただしい数のデータを精査して、攻撃性や欲求などの心の状態および感情を脳が生み出す仕組みを明らかにしようとしている。
2020年10月号
News Feature: 冥王星の「裏側」が見えてきた!
冥王星への驚異の接近通過を2015年に成功させた、NASAの探査機「ニューホライズンズ」。冥王星の「裏側」は低解像度でしか撮影できなかったものの、その画像の解析が進み、液体の水の兆候や、不可解な巨大な氷の刃、そして、極寒の惑星の誕生を巡る新しい理論が見えてきた。
2020年9月号
Feature: 計算で人間社会を解き明かす
フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアのデータが、社会科学に革命を起こしている。
2020年8月号
Feature: 縮小する科学者の世界
研究は、もっと環境に優しく、もっと平等になる可能性がある。
Feature: 変わる大学
新型コロナウイルスによるパンデミックの最悪の状況が過ぎ去ったとしても、その影響は、科学者の働き方や研究内容、そして彼らが手にする研究資金の額を永久に変えてしまう可能性がある。
Feature: 変動する研究対象
これまでに数千人の研究者が新型コロナウイルス研究に急遽参入しており、その多くが今後もコロナ研究を続けたいと考えている。
2020年7月号
Feature: オピオイド危機と闘う科学者
Nora Volkowは依存症研究に対する世界最大の研究資金提供機関を率いている。彼女は今、オピオイド蔓延問題における自身最大の試練に直面している。
2020年6月号
Feature: 中性子星の奇妙な核心に迫る
中性子星は宇宙で最も謎めいた天体の1つだが、近年、さまざまな観測装置を使った研究が進み、多くの事実が明らかになろうとしている。
2020年5月号
Feature: 遺伝子編集の新機軸として脚光を浴びだしたRNA編集
RNA編集はCRISPRに代わる遺伝子編集技術として、可逆的で融通が利く治療法をもたらしてくれそうだ。
2020年4月号
Feature: オーストラリアの森林火災に気候変動の影響
地球温暖化は、オーストラリアの広い範囲に甚大な被害を出した記録的な森林火災にどのような影響を及ぼしたのだろうか? 今、多くの研究者が謎解きに挑んでいる。
Feature: 「フォース」を感知するタンパク質を求めて
細胞が接触や圧力を感知する仕組みは数十年にわたって謎に包まれていたが、近年になって、そこに関与するタンパク質の解明が大きく進んだ。
2020年3月号
Feature: 100万年以上続いた後期三畳紀の長雨
乾燥しきった三畳紀のさなかに極めて湿潤な時期があったという説は、発表から30年を経て今ようやく受け入れられつつある。世界各地の岩石で発見されているこの長雨の痕跡は、この事象が地球上の生命の大きな転換期となり、恐竜類の隆盛にもつながったことを示唆している。
Feature: 因果関係を見つけ出すツール
「メンデル無作為化」は、疫学データから役に立つ情報を取り出したいときに頼りになる手法の1つだ。だが、研究者はこれに頼り過ぎていないだろうか。
2020年2月号
Feature: 投稿前スクリーニングで不正を防ぐ
故意や過失による研究不正を未然に防ぐため、所属科学者の論文原稿のスクリーニングを独立の機関に有償で依頼する研究機関が出てきた。
2020年1月号
News Feature: データで見るNature の150年
News Feature: ゼロから誕生した遺伝子
進化の過程では、古い遺伝子に手を加えて新しい遺伝子が作り出されると長い間考えられてきたが、自然選択はそれよりはるかに創造的なことが分かってきた。
2019年12月号
News Feature: 日本の再生医療政策がもたらすもの
日本は再生医療の規制緩和へと大きく舵を切った。この政策は国際的な広がりを見せているが、世界中の患者が代償を払う羽目になる危険性もはらんでいる。
2019年11月号
News Feature: 結晶作りの2人の巨匠
物質・材料研究機構の谷口尚と渡邊賢司が作り出す、極めて高品質の六方晶窒化ホウ素結晶が、近年目覚ましい発展を遂げているグラフェンのエレクトロニクス研究を支えている。
2019年10月号
News Feature: やっぱり高い英語の壁
英語を母語としない科学者の前に立ちはだかる英語の壁は、時に研究に支障を来すほど手強い。
News Feature: 深海底鉱物資源開発のジレンマ
深海底に眠る鉱物資源の開発はそれらの供給不足を解決するものとして 大いに期待されているが、一方で、人間の活動域から遠く離れた生態系で大規模な絶滅を引き起こす恐れもある。
2019年9月号
News Feature: ペロブスカイト太陽電池が直面する現実
ペロブスカイト太陽電池を開発中の各社は、既存の結晶シリコン太陽電池を過去のものにするような安価な新材料の実用化の時期は近いと言うが、彼らは楽天的過ぎないだろうか?
2019年8月号
News Feature: 系統樹を揺さぶるトリックスター
アーキアと呼ばれる微生物群の一部には、北欧神話に出てくるロキなどの神にちなんだ名前が付けられている。この仲間は謎が多く、ヒトなど複雑な生物の起源を巡る論争の火種にもなっている。
2019年7月号
News Feature: 核実験の負の遺産と生きる人々
旧ソビエト連邦の構成共和国だったカザフスタンでは、冷戦時代、40年にわたって核実験が行われていた。冷戦終結から四半世紀が経過した現在でも、研究者と住民は放射線による健康被害という負の遺産と格闘している。
2019年6月号
News Feature: 痛みを生む経路に性差あり
これまで何十年間も、痛みを発生させる機序に性差はないと考えられてきたが、近年、性別によりその経路が異なっていることが分かってきた。
News Feature: 細胞内の秘密の会話
細胞の機能を担う働き手である細胞小器官同士は、科学者たちがこれまで考えていたよりもはるかに盛んに対話している。
2019年5月号
News Feature: フッ素化合物を追跡する
科学者たちは厄介な難分解性フッ素化合物を同定し、評価しようと戦っている。
2019年4月号
News Feature: 研究者のためのキャリアアップ術
科学者として積み上げた経験を生かせる仕事に就くための秘訣を、5人の科学者が伝授する。
2019年3月号
News Feature: 惑星形成理論の最前線
ガスと塵に包まれたままの、生まれたばかりの惑星を捉えた画像が、従来の惑星形成理論に異議を申し立てている。
News Feature: 顔の探偵
Doris Tsaoは、脳が顔認識に使うコードを解読した。彼女は今、私たちが顔を含めた全てのものを見る仕組みを明らかにしようとしている。
2019年2月号
News Feature: とっておき年間画像特集2018
2018年は、米国カリフォルニア州の史上最悪の山火事から南アフリカ・ケープタウンの大干ばつまで、焼け付くような出来事が重なった年として歴史に残ることでしょう。クローン技術や画像化技術に進展が見られた一方、地球上で最も希少な生物種は脆弱であることを改めて思い知らされた年でもありました。この特集では、Nature が厳選した科学や自然界に関連する印象的な画像を紹介します。
News Feature: 生命を1から組み立てる
ボトムアップ式に作成された合成細胞から生命と非生命の境界が見えてくる可能性がある。
2019年1月号
News Feature: 市民科学の誕生から20年
研究のために市民の力を借りる市民科学プロジェクトはますます大規模かつ多様になってきているが、成長の余地はあとどのくらいあるのだろうか?
News Feature: 数の力で健康リスクを予測
ヒトゲノムの構成に基づく健康予測は大きく前進している。しかし、こうした予測の指標の1つとして使われ始めた多遺伝子性リスクスコアについては、まだ大いに議論の余地がある。
2018年12月号
News Feature: 宇宙ゴミ問題に打つ手はあるか
地球周回軌道にはゾンビ衛星やロケットの残骸、衝突によって生じた破片など、2万個以上の人工物があり、大きな交通リスクとなっている。研究者らは、宇宙ゴミがもたらす脅威を減じる方法を模索中だ。
2018年11月号
News Feature: 感染したインフルエンザの亡霊
生まれて初めてのインフルエンザ感染が、以後のその人のインフルエンザに対する免疫応答を形作る。こうした免疫の「刷り込み(imprinting)」の重要性が最近、認識されるようになってきた。
2018年10月号
News Feature: 「ヒト胚の育成」入門編
技術の進歩により、ヒト胚発生の最初の段階について解明が大きく進み始めており、倫理的に越えてはいけない一線に迫りつつある。
2018年9月号
News Feature: AIに公正な判断はできるか?
機械学習が社会に浸透しつつある今、科学者たちは公正なアルゴリズムの実現という難題と格闘している。
News Feature: アジア新興勢力の研究開発投資
香港、マレーシア、シンガポール、韓国、台湾は、成長のためのエンジンとして研究開発に多額の投資をしている。
2018年8月号
News Feature: 気付いてないのはPIだけ?
3200人の科学者を対象とする調査から、研究室の主宰者(PI)からのプレッシャーやPIの指導力に対する不満により、世界中の若手研究者がストレスをためていることが明らかになった。
News Feature: 研究室を率いるのに必要なスキル
PIは、リーダーになるための訓練を受けていない場合が多い。リーダーには何が必要かをまとめた。
2018年7月号
News Feature: 認知症に脳の炎症の影
脳の免疫系が、アルツハイマー病などの神経変性疾患を引き起こしている可能性が次々と報告されている。科学者たちはそれを食い止めることができるだろうか?
News Feature: 医療の効果を左右する「時計」
特定の時刻に薬剤を投与する「時間治療」の有望性がさまざまな臨床試験で示されている。しかし、現実的な課題も多く、それを乗り越えるには試験のデータだけでは不十分なようだ。
2018年6月号
News Feature: 細胞内の「相分離」に注目
細胞の内容物が水と油のように分離する現象で、細胞内の組織化や疾患が説明できるかもしれない。
News Feature: 脳波を操作して病を治療する
神経変性疾患を治療する非侵襲的な手法として、明滅する光やピンクノイズなどが注目を集めている。
2018年5月号
News Feature: 若者の危険行動を科学する
青年期の危険行動は単に反抗心から生じるものではない。神経科学による取り組みから、若者の危険行動には、彼らを取り巻く濃密で繊細な人間関係が関わっていることが明らかになってきた。
2018年4月号
News Feature: 見て見ぬふりをされてきた病
筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)の研究には苦難続きの過去がある。しかし、ここにきてようやく、研究の足掛かりが見つかりそうな気配だ。
2018年3月号
News Feature: 「第二の地球」のレシピを求めて
生命を育むことのできる惑星とは、どのような条件を備えているのだろう。それを明らかにする研究に、多くの実験地質学者が参入している。
News Feature: 好き過ぎてつらい博士課程
博士課程学生を対象とするアンケート調査から、不確実な未来への不安や、指導教員への不満が強い一方で、博士課程全般に対する満足度は高く、研究者としての就職を望んでいることが分かった。
2018年2月号
News Feature: とっておき年間画像特集2017
2017年の夏に米国本土を横断した皆既日食は、ニュースでも大きく取り上げられ、科学者も一般の人々もこの天文ショーを大いに楽しみました。その他にも、宇宙飛行の革新的進展や太古の動物種の不思議な姿など、Natureが厳選した科学や自然界の印象的な画像を紹介します。
News Feature: ヒト遺伝子のヒット・ランキング
生物学で最もよく研究された遺伝子はどれだろうか。それを探り出す取り組みから、意外なことがいくつか明らかになった。
2018年1月号
News Feature: AI時代の仕事と雇用
デジタル革命は世界の労働者のあり方をどのように変えるのか、3つの観点から検証する。
News Feature: ゾンビ細胞を退治して若さを保つ
自ら死のうとしない老化細胞の除去が強力なアンチエイジング戦略になることは、すでにマウスで実証済みだ。そして今、ヒトを対象とする試験が始まろうとしている。
2017年12月号
News Feature: 細胞をつなぐナノチューブ
1999年に報告された、細胞から細く長く伸びるワイヤー状の管。これまで評価されていなかったこの細胞間連絡は、がん細胞や細菌にも利用され、それらが広がるのを助けている可能性が出てきた。
2017年11月号
News Feature: 反物質研究の最前線
脚光を浴びるCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の陰で、新しい物理学を模索する複数の実験チームがしのぎを削っている。
2017年10月号
News Feature: トポロジカル物質の未来
ごくありふれた物質の中に、奇妙なトポロジー効果が隠れているかもしれない。こうした効果を見つけることで、新粒子の発見や超高速トランジスターの実現、ひいては量子コンピューティングの開発に弾みをつける可能性がある。
News Feature: 細胞に魅せられた科学者
Aviv Regevはゲノム解析の手法を用いて単一細胞を調べている。現在、人体の全ての細胞をマッピングするという壮大な計画を牽引する。
2017年9月号
News Feature: 研究助成金獲得の秘訣
研究助成金をめぐる競争はこれまでにない激しさになっている。Natureは助成金獲得の熟練者に話を聞き、データを徹底的に調べて、どのような戦略が有効で、よくある助言のうちどれを無視するべきかを探った。
2017年8月号
News Feature: 偽造試薬と戦う中国
中国は偽造試薬の一大市場となっている。この状況に、一部の科学者が戦いを挑んでいる。
2017年7月号
News Feature: ループ形成の謎に挑む研究者たち
DNAはなぜ絡まずに収納されるのか。これはゲノム高次構造に関する最も悩ましい問題の1つだが、「ループ状ドメイン」の形成がその1つの答えとなりそうだ。ただし、ループ形成を推し進めているものの正体については見解が分かれている。
2017年6月号
News Feature: 深海の美しき怪物「魚竜」
恐竜の時代に広大な海を支配していた巨大な爬虫類「魚竜」。細長い吻と大きな眼を持つこの謎に満ちた深海の怪物は、恐竜人気に圧されて長く影が薄れてしまっていたが、近年、再び関心が高まっており、その驚くべき進化史や生態が解き明かされつつある。今、魚竜研究が熱い。
2017年5月号
News Feature: ホットでクールな太陽熱冷房
大量のエネルギーを消費するエアコン。この需要が高まっている今、一部の人々は、暑さの原因である太陽熱に問題解決のカギがあると考えている。
2017年4月号
News Feature: 火星の石を持ち帰れ!
火星の生命を探す最良の方法は、火星の岩石を地球に持ち帰ってじっくり分析することだが、試料を汚染から守るのは至難の業だ。NASAは今、24億ドルを投じて、この前例のないミッションに挑もうとしている。
2017年3月号
News Feature: CRISPRの謎
世界はバイオテクノロジーに革命をもたらす遺伝子編集ツール「CRISPR」に群がっているが、それがどのように働き、何に由来するのかという基礎的な問題は、今なお大きな謎となっている。
2017年2月号
News Feature: 4つの性がある小鳥
スズメに似た野鳥、ノドジロシトドの配偶者選びは、雄か雌かだけでなく体色にも左右されるようだ。生態学者Elaina Tuttleは、こうした配偶システムの基盤にある奇妙な染色体の進化を解明することに生涯を捧げた。最後は、がんと闘いながら研究生活を全うした。
News Feature: とっておき年間画像特集2016
政治的な混乱や衝撃が続いた2016年、科学の世界にも次々と驚きがもたらされました。微細な結晶から広大な宇宙まで、さまざまなスケールで捉えられた画像の中から興味深く印象的なものを、Natureが厳選してお届けします。
2017年1月号
News Feature: 若手研究者にのしかかる重圧
今日の若手研究者は、上の世代より少ない助成金とポストをめぐり、厳しい戦いをくぐり抜けていかねばならない。
News Feature: 「致死的変異」の正体を見極める
世界最大級のゲノムデータベースを使った解析によって、ヒトの遺伝学についての情報が静かに着々と変わりつつある。
2016年12月号
News Feature: 天才児の育て方
並外れて優秀な児童の成長を長期にわたって追跡する研究から、21世紀をリードする科学者を育てるために必要なことが見えてきた。
2016年11月号
News Feature: ポリマーの可能性は無限大!
プラスチックに代表されるポリマーは、現代生活のほぼ至る所に浸透している。その可能性はまだまだ底知れない。
2016年10月号
News Feature: 「温故知新」で医薬品開発
創薬コストの高騰を受け、既存の承認薬や開発が途中で中止になった化合物を対象に、新たな適応疾患を探し出して製品化する「ドラッグ・リポジショニング」と呼ばれる取り組みが盛んになっている。
News Feature: 忘れられた大陸
中国で発見された化石人骨が、現生人類とその近縁種の進化をめぐる通説に挑戦状を叩きつける。
2016年9月号
News Feature: iPS細胞の10年
人工多能性幹(iPS)細胞は、医療革命の訪れを告げる使者だと考えられた。しかしその発見から10年経った現在、iPS細胞はむしろ生物学の研究を大きく変えるツールとなりつつある。
2016年8月号
News Feature: 「再現性の危機」はあるか?−調査結果−
本誌が実施したアンケート調査により、科学界を揺るがす「再現性の危機」について、科学者自身はどのように見ていて、どうすれば再現性を向上させられると考えているかが明らかになった。
2016年7月号
News Feature: がんの進化を利用した治療戦略
他のあらゆる生物と同じく、腫瘍にも自然選択が働いている。がんの治療法の開発にこの進化の原理を利用しようという動きが現在高まっている。
2016年6月号
News Feature: ナノスケールの虹が世界を変える
あらゆる色の蛍光を発するウイルスサイズの粒子が、テレビのディスプレイからがん治療まで、広範な応用分野に革命を起こそうとしている。
2016年5月号
News Feature: カンブリア爆発の「火種」
5億4000万年前に起きた爆発的進化によって、カンブリア紀の海は驚くほど多様な動物でいっぱいになった。この大変化のきっかけが、ついに見えてきたようだ。
2016年4月号
News Feature: 品質保証ブームを巻き起こせ!
ラボでの日々の実験に「品質保証」を取り入れてほしい。お金と時間を費やしてでも積極的に取り組む価値がある。それを知ってもらおうと奮闘している研究者がいる。
2016年3月号
News Feature: 最期の病
がんなどの疾患の末期になると、患者は筋肉量が著しく減少し、痩せて衰弱する。この状態は悪液質と呼ばれる。この機序が、ようやく少しずつ明らかになってきた。
News Feature: 胎児組織研究に関する真実
中絶胎児の組織を研究に使用することについて、米国では論争が巻き起こり、殺人事件も発生している。しかし、多くの科学者が「こうした研究はHIVや発生などの研究に不可欠だ」と言う。
2016年2月号
News Feature: ヒトゲノム編集の世界情勢
ヒト胚の利用や改変に関する世界各国の規制状況を俯瞰することで、ゲノム編集技術を使った最初の「CRISPR(クリスパー)ベビー」が誕生しそうな国が浮かび上がってきた。
News Feature: とっておき年間画像特集2015
NASAの探査機ニューホライズンズが太陽系外縁部から送ってきた冥王星の画像は、さまざまなメディアで大きく取り上げられ、見る人を魅了しました。Natureは、2015年に得られた数々の科学や自然現象の画像の中から、特に感動と驚きをもたらしたものを選びました。冥王星はもちろんのこと、まるで怪獣映画の1シーンのような動物の争いや可視化された衝撃波、肉眼では見ることのできない生物や物質の精細画像などをお届けします。
2016年1月号
News Feature: 「ゴジラ級」エルニーニョを捕まえろ!
現在、観測史上最強規模まで発達しそうなエルニーニョが発生しており、この時期に偶然にも太平洋の赤道付近に調査航海に出ていた研究チームがデータを収集中だ。
2015年12月号
News Feature: 分子マシンの時代がやってきた
化学者たちは、生物から着想を得て、スイッチやモーター、ラチェットとして機能するさまざまな分子部品を創り出してきた。そして近年、これらの微細な部品を使ったナノスケールの機械が続々と発表されている。
2015年11月号
News Feature: ダニ媒介性感染症をめぐる問題
ライム病をはじめとするダニ媒介性感染症は大きな問題となっているが、抑止する方法について研究者らが何も策を練っていないわけではない。では、いったい何が障害になっているのだろうか。
News Feature: エボラの次の新興感染症に備える
伝染病の流行や汎発流行に対する人類の備えは十分とはいえない。けれども、西アフリカで発生したエボラ出血熱の大流行に対する恐怖が、そんな状況を変えるかもしれない。
2015年10月号
News Feature: オルガノイドの興隆
臓器に似た立体構造体「オルガノイド」を作る研究が熱を帯びている。培養皿の中にシグナル分子を投入するだけで、細胞が自分で組織を形作るのだ。こうしてできたミニ臓器は、単一細胞の分析よりも多くの情報をもたらす場合があるだけでなく、薬の効果や副作用を調べるのにも役立つことが分かってきた。
2015年9月号
News Feature: ペンタゴンと生命科学が手を組むとき
近年、米国国防総省(通称ペンタゴン)が、生物学研究を強力に支援し始めた。だが、一部の科学者は、ハイリスクな研究に軍隊式マネジメントで取り組んでうまくいくのかと、疑問視している。
News Feature: オキシトシンの基礎研究は始まったばかり
オキシトシンが脳に与える影響は複雑なものであることが、この数年で明らかになってきた。その結果、この物質を単なる「抱擁ホルモン」とする見方を一刻も早く改めるべきだという考え方が研究者の間で広がりつつある。
News Feature: 微生物ダークマターを探る最新手法
既知の微生物種は全微生物種の約1割でしかないと言われる。新規抗生物質を求める微生物学者たちは、この広大な未知微生物の世界を探索する新しい方法を何通りも見つけ出している。
2015年8月号
News Feature: レーザー兵器が現実に
長年SFに欠かすことのできない小道具だったレーザー兵器が、ついに現実の戦場に近づいてきた。それを可能にしたのは光ファイバーだ。
News Feature: 再現できない実験の裏に抗体あり
抗体は生物学の実験ツールとしてよく使われているが、市販抗体の説明書きと実際の性能の違いは深刻で、多くの誤った知見をもたらす元凶にもなっている。この現状を改革しようとする動きはあるものの、現状では、研究者1人1人が抗体の性能を確認することで対処するしかない。
News Feature: 科学者たちの引退事情
高齢の科学者の多くは、次の世代のために場所を空ける必要があることは承知しているものの、定年制度は年齢による差別だと感じている。一方、定年制度が廃止された国のデータからは、意外な構造が浮かび上がってきている。
2015年7月号
News Feature: 輸血を減らして命も救う
輸血は、今日の医療で最も過剰に行われている治療の1つであり、その費用は数千億円に上る。研究者たちは輸血を減らす方法を模索している。
News Feature: がん遺伝子産物Rasへの再挑戦
発がんに大きく関わるRasタンパク質。これを標的とする治療薬は、30年に及ぶ探求にもかかわらずまだ見つかっていない。だが、実験手法が進歩したことで、この強敵からいったんは遠ざかった研究者が再びこの分野に参戦するようになってきており、新たな切り口でRasに挑み始めている。
2015年6月号
News Feature: バイオベンチャー起業家を養成するブートキャンプ
米国の研究助成機関は、バイオベンチャーを起業するための助成金を受けた科学者を成功に導くために、シリコンバレーの起業家が主催するプログラムを受講させている。
2015年5月号
News Feature: 天文光学で生体イメージング
天文学の補償光学技術をヒントに、不透明な物質を透視する手法が最近開発された。非侵襲的でより高分解能な生体イメージングを実現しようと、研究が熱を帯びている。
News Feature: 揺れる性別の境界
一般社会では、性別が二元的に男か女かに分けられている。だが、生物学的な研究が進んだことで、性別は単純に二元化できるものではないことが分かってきた。
2015年4月号
News Feature: バイオ炭は地球と人類を救えるか
生物資源から作られる土壌改良材「バイオ炭」が、農作物の収穫量を増やし、土壌や水の汚染を抑制するとして、世界的なブームの兆しを見せている。古くから籾殻を炭化して燻炭と呼び活用してきた日本人にとっては馴染み深いものだが、世界に知られるようになったのはごく最近で、その科学的な検証は始まったばかりだ。
2015年3月号
News Feature: 地球上の生物―その現状は?
現在、地球上からは生物種が次々と姿を消しており、次なる大量絶滅の発生も時間の問題ではないかと危惧されている。だが、その深刻さを正確に評価して対策を講じるのに必要な現状把握は、実際のところ極めて難しい。
News Feature: 量子コンピューターが現実になる日
量子の奇妙な性質を計算に利用しようとする物理学者たちは、30年に及ぶ奮闘の果てに、ついにゴールが見えるところまでやってきた。
2015年2月号
News Feature: 認知行動療法の効果を検証するには
認知行動療法は最もよく研究されている精神療法だが、この治療法がうつ病患者に効く仕組みはいまだに解明されていない。
News Feature: とっておき年間画像特集2014
この世界を解き明かそうとする研究者らの絶え間ない探求によって、2014年も素晴らしい発見がたくさんありました。この特集では、そうした研究成果や自然災害について、宇宙のはるかかなたから地球の深海まで、2014年に得られた画像の中から選りすぐりのものを紹介します。
2015年1月号
News Feature: 被引用回数の多い科学論文トップ100
1900年から今日までに発表された科学論文の中で「被引用回数トップ100」に入っているのは、どのような論文なのだろうか?
2014年12月号
News Feature: 科学界を去ったPhD
将来のスター科学者と目されていた優秀な大学院生が、博士号取得後に科学者にならずに別の道に進むことは少なくない。彼らはどんな人生を歩んでいるのだろうか。
2014年11月号
News Feature: 南極大陸の秘密の湖
南極大陸の氷床の表面下800mにある氷底湖から採取したサンプルに数千種類の微生物が含まれていることが明らかになった。未知の巨大な生態系の存在が示唆される。
News Feature: 夢の化学者ロボット
どんな有機化合物でも自動で合成できる合成ロボットがあったら、化学は大きく変わるだろう。そんなロボットを作ろうと競争が始まっている。
2014年10月号
News Feature: 核融合発電に挑むベンチャー企業
今、トカマク型に代わる新方式の核融合炉に熱い視線が注がれている。その研究開発を支えているのはベンチャーキャピタルと人々の夢だ。
News Feature: 血流が運ぶ情報
循環血中に存在するDNAは、最適な活用法を見つけることができれば、がん治療の優れたツールとなりそうだ。
2014年9月号
News Feature: 忘却の遺伝子
アルツハイマー病の有力な遺伝的リスク因子が20年余り前に報告されたが、研究者の多くはそれをほとんど無視してきた。しかし、その風潮がようやく変わろうとしている。
2014年8月号
News Feature: 天然痘の監視は終わらない
史上最大級の恐ろしい疫病の名残が、冷凍のミイラや、手紙に同封されたかさぶたに含まれているかもしれない。この感染症がゾンビのように蘇ったとき、私たちは十分に対処できるのだろうか。
News Feature: 地平線に見えてきた複雑性
コンピューター科学の分野で生まれたある概念が、基礎物理学においても重要な役割を果たし、時空の新しい理解への道を示す可能性がある。
2014年7月号
News Feature: 海洋発電が波に乗る日
長らく停滞していた海洋発電研究が、実用化に向けて動き始めた。
News Feature: 長い低迷期を抜けた免疫療法
免疫系はがんと闘うための強力な武器となり得る。これを利用する免疫療法の世界に「免疫チェックポイント阻害剤」という新機軸が登場したことで、免疫療法が盛り返してきた。
2014年6月号
News Feature: 「1000ドルゲノム」成功への軌跡
米国政府は、ヒトゲノム配列の解読コストを待望された目標レベルまで低下させることに成功した。その成功のカギは、政府肝煎りのプログラムにあった。
News Feature: 充電池開発の最前線
充電式電池(二次電池)のさらなる価格低下と容量増を実現するために、化学者は全く新しいデザインの電池を模索している。
2014年5月号
News Feature: 様変わりする世界の霊長類研究
欧州の研究者は、動物保護活動家による激しい攻撃から霊長類研究を守るための政治的勝利をようやく勝ち取った。だが、一部の地域では、それが骨抜きにされようとしている。
News Feature: 感染病原体が犯罪を暴く
民事・刑事を問わず、事件の捜査で「法医系統学」なる新しい科学鑑定法が、じわじわと浸透しつつある。この鑑定法は強力だが、裁判への利用は、状況をよく見極めて慎重にすべきだ。
2014年4月号
News Feature: 大学内での凶悪犯罪を未然に防げ!
近年、大学キャンパス内での暴力事件が増加している。米国の大学は学内の安全を守るための正式な手続きとして「脅威評価」を定めるようになったが、その有効性は未知数だ。
News Feature: 微小世界の謎を解く–結晶構造解析100年の歩み–
ドイツの科学者マックス・フォン・ラウエは、結晶によるX線の回折現象を発見し、1914年にノーベル物理学賞を受賞した。現在では、X線回折を利用して、単純な鉱物からグラフェンなどのハイテク材料、ウイルスなどの複雑な生物構造体に至るまで、さまざまな物質の構造が解明されている。技術は進歩し、1990年代には分解能がタンパク質結晶構造の画像中の原子1個1個を区別できるレベルに達した上、近年では新たな構造体が年間何万ものペースで画像化されるようになった。さらに最近、新しいX線源が開発され、大型結晶が得られにくいタンパク質の構造の画像化が期待されている。
2014年3月号
News Feature: 医療用アイソトープが不足する!
世界の原子炉の老朽化により、近い将来、医療用アイソトープは深刻な供給不足に陥ると考えられている。それに備え、原子炉を使わない医療用アイソトープ製造法を模索している革新的な企業がある。
2014年2月号
News Feature: とっておき年間画像特集2013
2013年も、さまざまな科学的な探査や解析が進み、我々の宇宙からは次々と驚きや感動がもたらされました。この1年の間に、巨大なものから微細なものまで至るところに科学の目が注がれ、宇宙空間の鮮やかな光景や、分子を互いに結び付ける結合そのものの画像などが捉えられました。この特集では、Nature が選んだ、科学、そして自然の素晴らしさを実感できる画像をお届けします。
News Feature: 脳型コンピューターへの道
ヒトのニューロンをヒントにしたコンピューター・チップなら、より少ない電力で、より多くの計算をすることができる。
2014年1月号
News Feature: 脳科学で心が丸はだか?
脳活動のパターンをスキャン装置で捉え、その情報を解読することで、その人の考えや見た夢、さらには次に何をしようとしているかまで、読み取れるようになるかもしれない。
News Feature: ガイア衛星打ち上げへ
欧州宇宙機関(ESA)のガイア衛星が、これまでで最も高い精度で宇宙の地図を作成するミッションに着手しようとしている。
2013年12月号
News Feature: 世界が注目するベンチャーキャピタル
サードロック・ベンチャーズ社は、起業させたバイオ技術企業に対する多額の投資で有名になった。「起業エンジン」として資金を調達し続ける同社の成果に、現在、注目が集まっている。
News Feature: カエルを愛したスパイ
100年ほど前、野外調査と諜報活動の二重生活を送った悪評高き爬虫両生類学者がいた。現代の若い科学者が彼に関心を持ち、その足跡をジャングルの中に追ったところ、このスパイは、分類学者として、きちんと仕事を残していたことが判明した。
2013年11月号
News Feature: 時間と空間の起源
現代宇宙論の欠点は、時間と空間がどこから生まれてきたかを説明できていないことだ。この難題を解決しないかぎり、物理学は完成しないと多くの研究者が考えている。
News Feature: 繊維芽細胞から卵を作り出した科学者たち
京都大学の研究チームが、2012年10月、マウスの多能性幹細胞から卵を作製することに成功した。彼らは以前、精子の作製にも成功しており、そうして作られた卵と精子からは繁殖能力のある仔マウスが生まれた。ヒトへの応用が期待される一方で、この技術を失速させないためには、これらの細胞を安全に、かつ倫理にかなうように使用する方法を探る必要がある。
2013年10月号
News Feature: 効く薬がない「究極の耐性菌」の恐怖
科学や医学の進歩と経済的繁栄や社会保障制度などのおかげで、人類は多くの感染症を実際に克服してきた。 それゆえ、災いが不可避的にやってくるというような黙示録的な表現を保健当局者が使うことはない。ところが、今最後の砦となっている強力な「カルバペネム系抗生物質」に対して、一部の細菌が耐性を獲得し始めており、恐怖を感じながらの監視体制がとられている。
News Feature: 脳科学の世紀
米国と欧州が相次いで、数千億円の資金を投入して脳が働く仕組みを解明する構想を打ち出した。しかし、その実現に必要な技術はまだ十分に整っていないのが現状だ。
2013年9月号
News Feature: 正常ヒト細胞株WI-38の光と影
1962年、Leonard Hayflickは中絶胎児から1つの細胞株を樹立した。 この細胞株は「WI-38」と名付けられ、その後50年以上にわたって研究用正常ヒト細胞の重要な供給源となってきた。 と同時に、さまざまな論争の原因にもなってきた。
News Feature: 21世紀のノーベル賞?
このところ、ノーベル賞より高い賞金の科学賞が相次いで新設されている。一晩で億万長者になる科学者が出るのは結構なことだが、一握りの研究者に巨額の賞金を授与しても、その研究分野が本当に活性化するかどうかはわからない。
2013年8月号
News Feature: 革命的な科学の手法を生み出す男
脳透明化技術「CLARITY」の開発を率いたKarl Deisserothは、脳科学の世界に大きな足跡を1つ、また1つと刻んでいる。
News Feature: 遺伝子組換え作物の真実
遺伝子組換え作物の導入により、スーパー雑草は本当に誕生したのか?インドの農民は自殺へと追いやられているのか?導入遺伝子は野生種にまで広まっているのか?遺伝子組換え作物をめぐるこれら3つの疑惑に対して、その真偽を検証する。
2013年7月号
News Feature: 銃と戦う男
米国には人口とほぼ同数の銃がある。不幸なことに、この事実がもたらす結果について調べる研究者は、非常に少ない。銃の力が信じられている米国の常識に、敢然と立ち向かう1人の救急医がいる。
News Feature: 精神障害はひとつながり
これまで病態に応じて区切られ分類されていた精神障害が、実は1つのスペクトラム、つまり、さまざまな病態が連なった1本の軸として表せることが、近年の研究によって示唆されている。しかし、精神障害診断の最新の改訂版DSM-5では、その採用は時期尚早として見送られた。
2013年6月号
News Feature: スローな科学
速いばかりが能じゃない。世の中には、数十年あるいは数百年も続いている実験がある。科学は短距離走ばかりではなく、マラソン競技も含めた知的作業であることを、改めて思い出そう。
News Feature: 輝く女性科学者たち
女性であることは研究に何か影響しましたか? 本格的な研究生活をスタートさせつつ、出産や育児にもチャレンジする30代の女性科学者4人に尋ねてみた。
2013年5月号
News Feature: 環境にやさしいセメント
古代ローマの時代から現代の建築構造物に至るまで、セメントは人類文明に不可欠な建築資材としてあり続けてきた。しかし、セメントの製造では大量の温室効果ガスが排出されてしまう。それを削減するには、この複雑な材料を徹底的に理解する必要がある。
News Feature: ニューヨークを高潮から守れ!
2012年10月、ニューヨーク市はハリケーン「サンディー」がもたらした高潮により甚大な被害を受けた。科学者と行政当局は、将来の水害から米国最大の都市を守る方法を模索している。
2013年4月号
News Feature: 人間は、儀式をするサルである
人間集団には、祈り、戦い、踊り、詠唱などの儀式がある。そして、その儀式の違いが、過激な集団と平穏な集団の違いを生んでいるらしい。儀式はまた、文明の誕生とも深く関係する。
News Feature: 簡単な算数ができない学習障害
電話番号などの簡単な数字を覚えたり、簡単な足し算をしたりするのがひどく苦手な人がいる。このような「算数障害」があっても、知能面に全く問題がなく日常生活を支障なく送っている人も多い。この「算数障害」をとおして数認識の仕組みを探るとともに、その障害者支援に尽力する研究者がいる。
2013年2月号
News Feature: とっておき年間画像特集2012
写真共有機能のあるInstagramやFacebook、twitpicなどが普及して、私たちは日常的に多くの写真を目にするようになりました。それに伴い、写真の持つ力が相対的に弱くなってきた、という見方も現れています。しかしそんなことはありません。カメラは今なお、自然界のすばらしさや、自然界を探求するワクワク感を写し取ってくれています。音速を超えるスピードで地球に向かって落下する男性から、悪夢に出てきそうな海の生き物、脳を守る関門の繊細な網目構造まで、Natureが選んだ2012年のとっておき画像を紹介します。
2013年3月号
News Feature: コンピューターの高性能化は熱との戦い
超小型回路は小型化すればするほど高温になる。技術者たちはコンピューターの新しい冷却法を模索し続けている。
News Feature: コンクリート・ジャングルの生態学
人々と建物、野生生物、環境汚染が、都市でどう作用し合っているかを生態学の視点でとらえる「都市生態学」が注目を浴びている。
2012年12月号
News Feature: 「何も考えていない」ときの脳活動
何も考えていないときでも、脳は盛んに活動していることがわかってきた。なぜなのか、その理由を解き明かすべく研究が始まったが、そこには本質的な難しさが横たわっている。
News Feature: 古生物学に革命を起こした男
中国の43歳の若き古生物学者Xing Xuが、恐竜の進化理論に革命を起こし、中国を古生物学の中心地にすべく奔走している。
2013年2月号
News Feature: 飛躍のときを迎えた量子シミュレーター
本格的な量子コンピューターが登場するのは、まだまだ先の話だ。その前段階として、量子系(量子システム)をシミュレーションできる機械があり、最近、それに対する関心がますます高まっている。
News Feature: 卵の幹細胞をめぐる攻防
Jonathan Tillyは、ヒトをはじめとする哺乳類の卵の幹細胞の存在を示し、「生まれた時点で一生分の卵の数は決まっている」という定説に異を唱え、猛烈な批判にあった。その後、別の研究者からも報告があり理解者は増えたが、疑念の声を鎮めるにはデータはまだ不十分だ。
2013年1月号
News Feature: 環境ホルモンをめぐる攻防
化学物質の安全基準の大原則は、「曝露量が少なければ危険性も少ない」というものだ。ところが、環境ホルモン(内分泌攪乱物質)はこの原則から外れていると科学者たちは主張する。ただ、100%の確証があるわけではなく、規制当局も対応するまでには至っていない。
2012年11月号
News Feature: 「出逢いの演出家」に徹して脳の発生を再現
試験管内で眼や脳の一部を作り出した笹井芳樹は、「幹細胞が何になりたいか」を汲み取る特別な才覚を持つ。
News Feature: 科学としての歴史
過去の出来事を科学的に分析することで、未来を予想できるとする「歴史動態学」が登場した。既存の歴史学者は懐疑的だが、このアプローチは興味深い。
2013年1月号
News Feature: 都会の憂鬱
研究者たちはこれまで「現代の都市生活によるストレスと精神疾患の関連」を示そうとしてきたが、有効なデータはなかった。だが、2003年に公表された英国の「キャンバーウェル調査」の結果は世界に衝撃を与え、これをきっかけに、さまざまな方法で検証が進められている。
2012年10月号
News Feature: アスリートはどこまで超人化するか?
ドーピングなどの方法で運動能力を向上させることは、スポーツ界では違反行為とされている。しかし、それらの規制をすべて撤廃すれば、科学は人間の運動能力の限界を打ち破ってしまうかもしれない。
News Feature: 脳のロックを解除する
脳の神経回路の大部分は、子ども時代に確立し固定される。近年、それをリセットする方法が見つかってきており、さまざまな神経疾患の治療にもつながるのではと期待されている。
News Feature: 3D印刷がもたらす革命
立体物を印刷できる3Dプリンターの進歩が、科学研究の新たな地平を開こうとしている。
2012年9月号
News Feature: 植物状態の「意識」を探る
意思伝達が不可能とされてきた植物状態の患者と、脳スキャン技術を使ってコミュニケーションをとる方法が見つかった。これを発見した神経科学者Adrian Owenは今、この手法を臨床現場に導入しようと奮闘している。
News Feature: 風力発電から鳥を守るために
ブレードが高速回転する風力発電所は、周辺を飛ぶ鳥やコウモリにとって重大な脅威となっている。野生生物が安全に世界の空を飛べるようにするには、何をどうすればよいのだろうか。
News Feature: 曲がり角に立つインフォームド・コンセントのあり方
市民の協力の下で行われる研究では、事前にインフォームド・コンセントを得る必要がある。しかし、研究データの用途が広がるにつれ、当初想定していなかった目的での利用が増え、協力者との間でトラブルになるケースが増えてきている。インフォームド・コンセントのあり方は転機を迎えているのだ。
2012年8月号
News Feature: 放射線照射実験の貴重な標本を救出せよ!
かつての冷戦時代、放射線の健康への影響を調べるために、世界各地で実験動物を使った大規模な放射線照射実験が実施された。時は移り、こうした組織標本のコレクションが今、廃棄の危機に直面している。しかし、これらの標本は、特に低レベル放射線の危険性に関する我々の疑問に答えてくれる可能性があり、現在、世界中の研究者が、その救出・保存に取り組んでいる。
News Feature: ミクログリアは働き者の庭師
脳内の免疫担当細胞であるミクログリアは、かつては消極的な監視役だと考えられていたが、最近になって発生中のニューロンの「剪定」に積極的に関与し、重要な役割を果たしているらしいことがわかってきた。
2012年7月号
News Feature: 植物学を支えるプラントハンター
植物学という学問分野は、わずか数人のプラントハンター(植物採集家)によって形作られた。現在、プラントハンターは姿を消しつつあり、後継者も先行き不透明だ。
News Feature: 病原体は風に乗って太平洋を渡る?
原因不明とされる川崎病の病原体は、大気上空の気流に乗って太平洋を渡っている可能性がある。1960年代に大ヒットしたボブ・ディランの「風に吹かれて」の歌詞にあるように、答えはまさに、風の中にあるのかもしれない。
2012年6月号
News Feature: 「分離脳」が教えてくれたこと
重度のてんかん治療のために、脳梁離断という過激な脳外科手術を受けた一群の患者がいる。彼らの協力による心理実験や調査が1960年代から行われ、左右脳の機能や神経科学に関して、多くの知識がもたらされた。
News Feature: カフェインレスコーヒーを求めて
風味がよく、商業的に成り立つ、カフェインを含まないコーヒーを作るために、1世紀以上にわたってチャレンジが続いている。
2012年5月号
News Feature: クラゲ大襲来
クラゲの大発生は、海が病んでいるせいだ — と警告する生物学者たちがいる。すでに手遅れなのだろうか。
News Feature: 異端を正統に変えた女性科学者
折りたたみ方を誤ったタンパク質は、疾患発症の原因となる。それはまた、進化の推進力となる場合もある。Susan Lindquistのこうした考え方は、まさに既存の常識に挑戦するものだった。 彼女の挑戦は続き、それに対する批判もやまない。
2012年4月号
News Feature: 「ジャネリア・ファーム」の優雅な生活
分野の垣根を越えた研究をめざす壮大なプロジェクト、ジャネリア・ファーム。創設から5年が経過した今、その成果はいかに?
News Feature: 星たちが奏でる音色
NASAのケプラー宇宙望遠鏡がもたらすデータは、太陽系外惑星の探索だけでなく、星震学にも革命を起こそうとしている。赤色巨星の進化段階さえ区別できるのだ。
2012年3月号
News Feature: 身体の錯覚を自由に操る科学者
体外離脱、つまり自分の身体を離れて外から見ているような錯覚を、科学的方法論としてきちんと生み出すことが可能になった。これを実現したのがスウェーデンの神経科学者Henrik Ehrssonだ。彼の研究から今、人間についてこれまで想像もつかなかった謎解きが始まりつつある。
News Feature: 欧州でのヒトES細胞研究にブレーキ
ドイツ人研究者Oliver Brüstleは、10年以上もヒトES細胞関連の特許について闘ってきた。しかし、欧州司法裁判所が下したのは、思いも寄らぬ厳しい判決だった。
2012年2月号
News Feature: 火星探査カメラに命をかけた男
1970年代のバイキング計画以来、ほとんどすべての火星探査ミッションのカメラを製作してきたのがMike Malinだ。彼のカメラは、火星のイメージを大きく変え続けている。
2012年1月号
News Feature: 影響が懸念されるメコン川のダム建設
メコン川の主流に複数のダムを建設する計画が進められており、流域の環境に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。科学者たちは、環境影響評価が終わるまで、建設を延期するよう望んでいる。
News Feature: 黒死病の原因菌のゲノム解読
660年前の細菌のゲノム解析によって、ヨーロッパの暗黒時代の謎の1つが解明された。
2007年1月号
News Feature: ただのゴミだと思ったら・・・
埋め立て地がゴミであふれるころ、政府には新しいゴミ処理方法が必要になる。プラズマ技術でゴミをエネルギーに変える日本の施設をDavid Cyranoski が取材した。
News Feature: 幸福を測る物差し
幸福とはいかなるものか。アリストテレスの時代から哲学者たちは、この問題に頭を悩ませてきた。科学者、心理学者、経済学者らが現在、この問題にどのように貢献できるのかを、Tony Reichhardt が取材報告する。喜びを数値で表せる段階まで、多少なりとも近づいたのだろうか。