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遅発性運動失調:RFC1イントロン内の1種類の反復配列の両対立遺伝子性伸長が遅発性運動失調によく見られる原因である

Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0372-4

遅発性運動失調は、ありふれた疾患で、特発性であることが多く、小脳障害、固有感覚障害、あるいは前庭障害から生じ得る。また、それらが組み合わせて見られる場合には、小脳性運動失調-ニューロパチー-前庭反射消失症候群(CANVAS)とも呼ばれる。本論文では、ノンパラメトリック連鎖解析とゲノム塩基配列決定を用いて、RFC1(replication factor C subunit 1)遺伝子のイントロン内のAAGGG反復配列の両対立遺伝子性伸長が、家族性CANVASの原因であること、また、遅発性運動失調で、特に感覚ニューロパチーと両側性前庭反射不全が共存する際によく見られる原因であることを明らかにした。この伸長は、AluSx3エレメントのポリ(A)尾部に生じ、参照配列の対立遺伝子(AAAAG)11とはサイズも塩基配列も異なっているが、患者の末梢組織や脳組織でのRFC1発現には影響を与えないことから、明らかな機能喪失はないと考えられた。これらのデータは、ヨーロッパ系の人ではこの伸長を持つ人の頻度が0.7%であることと合わせて、RFC1の両対立遺伝子でのAAGGG伸長が遅発性運動失調に頻発する原因であることを示している。

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