2010年12月号Volume 7 Number 12

研究助成金の申請は、こうして落とされる

民間の研究助成団体である「米国がん協会」の審査委員会に、Natureの記者が潜入。助成申請書が、どのような評価プロセスを経て採用・不採用になるかが、明らかになった。限られた資金の中で、誠実な評価に基づき、優れたテーマを選び出すのは容易ではない。特に当落線上にある申請の場合、審査委員は、申請者の研究キャリアの命運をも握っているからだ。

Editorials

経済的苦境にある米国で、保守派の間に反科学的傾向が広がっている。その典型がティーパーティー運動だ。それでも、大多数の米国民は科学に対して強い信頼感を寄せている。

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News in Japan

慶應義塾大学の茂呂和世助教と小安重夫教授の研究グループはマウスの脂肪組織から新種のリンパ球を発見し、「ナチュラルヘルパー細胞」と命名した。この細胞は免疫を活性化させるサイトカインを大量に作り出し、感染した寄生虫の排除を助ける。また、ぜんそくやアレルギー疾患の発症に重要な役割をしていると考えられる。この成果は、2010年1月のNatureに掲載された。

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News

まもなく、食用の遺伝子組み換え動物としてサケが初めて認可される見込みである。今後、他の遺伝子組み換え動物食品が次々と市場に出回るようになるかもしれない。

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News Features

世界中から選ばれた優秀な学生たちに未来学の思想を教え、世界をリードする人材を育てようとするサマースクールがアメリカ西海岸にある。大胆な主張と、優れた頭脳と、ハイテク装置が出会い、独特の高揚した雰囲気が生まれている。

科学リテラシーのある一般市民を対象とした国際アンケート調査から、科学の重大問題に関する考え方に、洋の東西で大きな違いがあることが明らかになった。

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Japanese Author

筋繊維での働きが有名なミオシンが、ウイルスの受容体だなんてことがあるのだろうか? – 単純ヘルペスウイルスの研究を進めてきた川口寧准教授は、実験データを見て驚いた。すぐさま詳細な解析に着手。懸命な実験により、非筋肉性のミオシンが、ウイルスの細胞侵入において重要な働きを果たすことが明らかになった。

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News & Views

2010年のノーベル物理学賞は、グラフェン(原子レベルの薄さの炭素シート)の研究者に贈られた。グラフェンの1枚1枚に電子ビームでナノ細孔を開けると、単一DNA分子の超高速シーケンサーが作れるかもしれない。

抗生物質の存在下で、培養細菌の中の一握りの細胞による「思いやりのある行為」が、残りの細胞集団全体の生存を助けるケースがみられた。このような知見は、抗生物質耐性菌のまん延という公衆衛生上の大きな問題に対して、さまざまな示唆を与えてくれそうだ。

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英語でNature

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