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プログラム細胞破壊におけるNINJ1タンパク質の役割

プログラム細胞死(PCD)は、がんや発生という状況において、損傷を受けた細胞や不要な細胞を除去するための中心的な過程である。また、免疫系が正常に機能するために重要な役割を担っている1。さらに免疫系の防御面においても、PCDは細菌やウイルスが感染する宿主細胞という「すみか」を破壊することで、感染の拡大を止めることができる1。細胞死の制御は生命にとって非常に重要であるため、アポトーシス、ピロトーシス、ネクロトーシスと呼ばれる、少なくとも3つの複雑なPCD経路が進化してきた1。このほど、バーゼル大学(スイス)のMorris Degen、ローザンヌ大学(スイス)のJosé Carlos Santosおよびシュツットガルト大学(ドイツ)のKristyna Pluhackovaらの研究グループ2と、ジェネンテック社(Genentech、米国カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)の榧垣伸彦(かやがき・のぶひこ)およびIrma B. Stoweらの研究グループ3が、独立に、特定のタイプのPCDの最終段階でニンジュリン1(NINJ1)タンパク質が機能する仕組みを明らかにし、Nature 2023年6月29日号1065ページと1072ページで、それぞれ報告している。

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翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 9

DOI: 10.1038/ndigest.2023.230945

原文

The role of NINJ1 protein in programmed cellular destruction
  • Nature (2023-06-29) | DOI: 10.1038/d41586-023-01602-z
  • James C. Whisstock & Ruby H. P. Law
  • 共にモナッシュ大学(オーストラリア・ビクトリア州クレイトン)に所属。

参考文献

  1. Bertheloot, D., Latz, E. & Franklin, B. S. Cell. Mol. Immunol. 18, 1106–1121 (2021).
  2. Degen, M. et al. Nature 618, 1065–1071 (2023).
  3. Kayagaki, N. et al. Nature 618, 1072–1077 (2023).
  4. Frank, D. & Vince, J. E. Cell Death Differ. 26, 99–114 (2019).
  5. Xia, S., Hollingsworth, L. R. IV & Wu, H. Cold Spring Harb. Perspect. Biol. 12, a036400 (2020).
  6. Xia, S. et al. Nature 593, 607–611 (2021).
  7. Kayagaki, N. et al. Nature 591, 131–136 (2021).
  8. Araki, T. & Milbrandt, J. Neuron 17, 353–361 (1996).
  9. Jumper, J. et al. Nature 596, 583–589 (2021).
  10. Law, R. H. P. et al. Nature 468, 447–451 (2010).
  11. González-Juarbe, N. et al. PLoS Pathog. 11, e1005337 (2015).
  12. Wang, H. et al. Mol. Cell 54, 133–146 (2014).