2021年5月号Volume 18 Number 5

腸内細菌はどのように脳を変えるのか

腸脳軸や脳腸相関という言葉を耳にしたことがあるだろうか。腸内細菌が脳の神経系に影響を与え、疾患を引き起こしたり、その経過を変えたりすることが、この数年で急速に明らかになってきた。脳に作用を及ぼす細菌を突き止めるマッピング研究の功績が大きく、ここからパーキンソン病などの疾患で治療に使える可能性が浮かび上がってきた。

Editorial

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Publishing Academy

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News in Focus

伝説の天才数学者シュリニバーサ・ラマヌジャンにちなんだ名が付けられたAIアルゴリズムは、数々の興味深い数式を提案するが、その中には証明が困難なものも含まれている。

レーザーを使って毎秒250兆ビットの速度で物理的に乱数を作り出す装置が開発された。今後、必要な機能を1つのチップに載せた小さな素子ができるかもしれない。

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Features

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Japanese Author

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卵を産むなど哺乳類らしからぬ振る舞いで知られる、カモノハシとハリモグラ。およそヒトなどとはかけ離れた特徴を持つ哺乳類である。今回、そのゲノム配列が、国際的プロジェクトにより高精度で解読された。哺乳類の進化の謎を解き明かす手掛かりとなるのはもちろん、生息数が減少しているこれらの動物の保護に役立てるなど、さまざまな研究の土台となる貴重なリソースとなるだろう。化学受容体遺伝子の専門家としてこの研究プロジェクトに参加した早川卓志・北海道大学助教と二階堂雅人・東京工業大学准教授に話を聞いた。

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News & Views

脊髄損傷により血圧の維持ができなくなると、身体の衰弱を招く。血圧の安定に不可欠な反射を人為的に再現することで、この問題を回避できるようになった。

インスリンは膵臓のβ細胞によって産生される。 今回、β細胞におけるインスリンシグナル伝達の調節因子が特定され、 この経路がβ細胞の生物学的性質において重要な役割を担っているとする 長年の考えが確固たるものになった。

マクロファージと呼ばれる免疫細胞は、老齢個体では主要な代謝経路が遮断されることが分かっている。マウスでの研究だが、この状態にあるマクロファージの代謝を回復することで、加齢に伴う認知機能低下を軽減できることが分かった。

プラスチックは極めて有用で現代社会に不可欠な材料だが、貴重な石油資源を原料とし、完全なリサイクルが難しく、環境中に残り続ける。今回、巧妙な分子レベルの設計によって、これらの問題全てを解決し得る、バイオマス由来の高性能プラスチックが開発された。

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News Scan

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Where I Work

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