2019年7月号Volume 16 Number 7

核実験の負の遺産と生きる人々

旧ソビエト連邦の構成共和国だったカザフスタンでは、1949年から40年にわたり核実験が行われた。地上でも110回以上実施され、近隣住民には体調不良を訴える人や死者も出ていた。だが、患者に説明がなされることはなかった。そして1991年、カザフスタンが独立したことで、破棄を免れた被爆者の資料が日の目を見ることとなった。研究者と住民は、その情報から放射線の体への影響を明らかにしようと格闘している。

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1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

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Editorial

3年の試行期間を経て、大部分の研究者が査読者の功績を顕彰してほしいと考えていることが明らかになった。 これまでに、Nature の査読者約3700人が、公にその貢献を認められることを選んだのだ。

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Publishing Academy

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News

調査の結果、温帯と熱帯の海の表層水だけでなく北極海にもウイルス多様性ホットスポットが存在することが明らかになった。

ブラックホールの姿が初めて撮影された。この観測は、アインシュタインの一般相対性理論のこれまでで最も強固な確認の1つになった。

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News Feature

旧ソビエト連邦の構成共和国だったカザフスタンでは、冷戦時代、40年にわたって核実験が行われていた。冷戦終結から四半世紀が経過した現在でも、研究者と住民は放射線による健康被害という負の遺産と格闘している。

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News & Views

DNA解析と顕微鏡観察から、サンゴの共生に第3の生物が関わっていることが明らかになった。多くの生態系を支える共生関係の機能や進化の複雑さを改めて浮き彫りにする知見だ。

宇宙の「行方不明の質量」であるダークマター(暗黒物質)を探すために設計された、液体キセノンを用いた検出器が、「2ニュートリノ二重電子捕獲」と呼ばれる稀な原子核崩壊を観測した。この結果は、原子核物理学と素粒子物理学に密接に関係する。

コードされたタンパク質の短縮を引き起こす遺伝子変異(ナンセンス変異)は、関連遺伝子の発現を誘導する場合があることが分かった。この補償応答の発見は、ヒトやモデル生物の遺伝学的研究に関するこれまでの考え方を変えることになるだろう。

肥料の原料となるアンモニアは人間社会にとって不可欠だが、その製造にはエネルギーの大量消費、二酸化炭素の大量排出、多額の初期設備投資が伴う。今回、常温常圧で進む興味深い反応が開発されたことで、エネルギー効率の高い代替アンモニア合成法が実現される可能性が示された。

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News Scan

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