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血管付き三次元細胞シートの作製に成功!

梅津 光生

Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 8 | doi : 10.1038/ndigest.2013.130820

2012年9月、大阪大学医学部の澤芳樹教授らは、衝撃的な臨床治療の成果を発表した。その患者は重篤な拡張型心筋症で、補助人工心臓なしでは生きられない状態だったが、細胞シート移植で心筋機能が回復、無事退院したというのだ。その補助人工心臓の開発メンバーの1人でもある早稲田大学理工学術院の梅津光生教授は、今回、毛細血管付きの三次元細胞シートの作製に成功した。

–– Nature ダイジェスト:組織工学の道に入られたきっかけは?

梅津:私は鉄道好きで、機械に興味がありました。そのため、流体制御領域の第一人者で、自らの研究を新幹線開発などに応用していた故・土屋喜一教授の下で学びたいと考え、ゼミに入りました。ところが土屋先生は、医師と共同して流体力学をバイオエンジニアリングに応用する研究を始めていました。「梅津君、ヒトの体内を流れる血液も流体だよ」と諭され、この道に入ることになったのです。

大学院で同期だった岡野光夫先生(応用化学専攻)が、博士論文において「ミクロ相分離構造が、血を固まりにくくする」という概念を打ち出し、抗血栓性材料の開発を始めました。一方、私は大阪の国立循環器病センターの初代研究員となり、補助人工心臓の開発を始めました。その際、岡野先生の技術をもとに某企業が開発したポリウレタンを「血液接触面のコーティング材料」にして、商品化を進めました。その補助人工心臓はすでに1000例に近い患者さんに使われています。それはともかく、以降、機会あるごとに岡野先生とタッグを組んで共同研究を続け、2008年には、早稲田大学と東京女子医大とで連携先端生命医科学教育施設(TWIns)を立ち上げることになりました。私がTWInsの早大側センター長を、岡野先生(東京女子医科大学教授)が女子医大側のセンター長を務めています。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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