Nature ハイライト

微生物学:ファージ防御用化学兵器

Nature 564, 7735

細菌はファージに抵抗する多様な防御機構を備えているが、これまでに見つかった防御機構は全て、タンパク質を用いている。今回、ストレプトミセス属(Streptomyces)の細菌が産生する二次代謝産物のうちで、がんの化学療法で使われるDNA挿入剤として知られているものが実際に、二本鎖DNAゲノムを持つ多岐にわたるバクテリオファージに対する化学的防御機構の1つであることが明らかにされた。細菌の二次代謝産物は、菌体外へと分泌されて、同じニッチ内で競合する細胞性生物の増殖を阻害することが知られている。今回の研究によって、このような代謝産物の一部がファージに対する能動的防御機構として働くことが明らかになった。これは、初めて見つかった化学的な抗ファージ防御機構であり、多様な種にわたる細菌が個体群レベルや群集レベルでファージ感染から自身を守る仕組みについてのこれまでの見方を変えるものである。この研究はまた、ストレプトミセス属細菌がこのような抗がん化合物を産生する理由を進化の面から説明している。今回用いられたスクリーニング手法は、ストレプトミセス属細菌が産生するほぼ10万種類に及ぶ機能不明の代謝物の特性を創薬研究で明らかにするのに使えそうだ。

2018年12月13日号の Nature ハイライト

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