Nature ハイライト

物理:量子気体における原子ブロッケード

Nature 480, 7378

今回、原子の数に敏感なブロッケード(閉塞)機構が実証された。これは、物性物理学や量子情報処理に応用できる可能性がある。ブロッケードは、閉じ込められた少数多体系での強い相互作用によって、他の場合には占有できる量子状態を粒子が占有できなくなったときに起こる。光格子中の極低温原子に新しい形の相互作用ブロッケードが観測され、軌道励起ブロッケードと名付けられた。この系では、格子の深さを共鳴的に変調することで、格子サイト上の単一原子を、より高い軌道へ励起できる。しかし、2個の原子が同じサイトを占有すると、それらの間の相互作用によって、軌道に依存したエネルギーシフトが生じる。その結果、適切な周波数で変調して1個の原子をより高い軌道へ励起すると、2つ目の原子の励起は非共鳴となり、原子は「ブロック」される。今回この効果を用いて、極低温原子によるアルゴリズム冷却が実証され、このことは量子シミュレーションに必要なきわめて低いエントロピーに達するのに重要だと考えられる。また、軌道励起ブロッケードによって光格子中に量子ゲートが実現できる可能性がある。

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