Nature ハイライト

量子情報科学:電子スピンキュービットの探索

Nature 479, 7371

窒素空格子点(N–V)中心と呼ばれるダイヤモンド中の点欠陥は、高度に局在した電子スピン状態を持ち、その量子特性を室温で容易に利用できるため、大きな関心を集めている。他の半導体中でも、同じような欠陥で、成長やデバイスへの加工がダイヤモンドより容易であったり、別の機能を得られたりするようなものが見つからないか、探索が進められている。今回Koehlたちは、炭化ケイ素中の新種の欠陥スピン状態について報告している。この状態は、通信波長領域で光学的に取り扱うことが可能で、室温までコヒーレントに制御できる。この欠陥スピン状態のスピンコヒーレンス特性はダイヤモンドのN–V中心に匹敵し、炭化ケイ素は半導体産業で大規模な微細加工工程がすでに存在する材料である。したがって、これはフォトニクス、スピントロニクスや量子情報といった用途での有望な材料候補となる。

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