Research Abstract

末梢リンパ組織におけるCD4 T細胞からCD8αα T細胞への分化

In situ differentiation of CD8αα T cells from CD4 T cells in peripheral lymphoid tissues

2012年9月7日 Scientific Reports 2 : 642 doi: 10.1038/srep00642

ヘルパーT細胞(CD4T細胞)と細胞障害性T細胞(CD8 T細胞)への運命決定は、胸腺における 抗原認識様式に依存した相互排他的な分化過程である。これらのT細胞サブセットは、それぞれ他の系列へと再分化しないものと信じられている。今回我々は、レチノイン酸とTransforming Growth Factor-β1が、CD4 T細胞からCD8αα T細胞への分化を促進することを見いだし、この分化にはRunx3が必要である事を明らかにした。CD8αα+TCRαβ T細胞のなかには、活性化T細胞を特異的に抑制する性質を持つ細胞がいることが知られている。さらに、Runx3-/- T細胞をもつマウスが実験的アレルギー性脳脊髄炎からの回復に障害を示すことが明らかになった。これらのことから、私たちが今回見いだしたCD4由来CD8ααT細胞は、ある種の制御性T細胞として機能していることが推測された。我々の結果は、CD4 T細胞が免疫反応を促進するだけでなく、抑制する反応にも関与しながら、免疫反応全体をより精密にコントロールするための根本的な役割を担っていることを示している。したがって我々は、この分化過程の詳細を明らかにすることによって、自己免疫および免疫不全疾患の治療につながる知見が得られるものと考えている。

南部 由希子1*, 林 達成1, Kyoung-Jin Jang1, 青木 耕史2, 眞野浩人1, 中野圭子1, 大里 元美3,4, 髙橋 克5, 伊藤 克彦6, 手良向 聡7, 小守 壽文8, 藤田 潤6, 伊藤 嘉明3,4, 清水 章1 & 菅井 学1

  1. 京都大学医学部附属病院 探索医療センター 探索医療開発部
  2. 福井大学 テニュアトラック推進本部
  3. Cancer Science Institute of Singapore, National University of Singapore(シンガポール)
  4. Institute of Molecular and Cell Biology(シンガポール)
  5. 京都大学大学院 医学研究科 感覚運動系病態学講座
  6. 京都大学大学院 医学研究科 遺伝医学講座
  7. 京都大学医学部附属病院 探索医療センター 探索医療検証部
  8. 長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 生命医科学講座 細胞生物学分野
    *現在の所属:Bioprocessing Technology Institute(シンガポール)
Mutually exclusive cell fate determination of CD4 helper or CD8 killer T cells occurs in the thymus. These T-cell subsets are not believed to redirect other lineages. Here we showed that retinoic acid and transforming growth factor-β1 promoted the differentiation of CD8αα T cells from CD4 T cells in a Runx3-dependent manner. These cells were inferred to belong to immunoregulatory populations because subpopulations of CD8αα+TCRαβ T cells are known to suppress activated T cells, and mice with Runx3−/− T cells showed defects during recovery from experimental allergic encephalomyelitis. Our results demonstrate that CD4 T cells play fundamental roles in controlling immune reactions through promotion and attenuation. We accordingly anticipate that clarifying the mechanisms underlying this process will provide insights leading to autoimmune and immunodeficiency disease therapies.