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高血圧:低・中所得国における高血圧ケアカスケードと心血管疾患の不平等の低減

Nature Medicine 30, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02769-8

低・中所得国での高血圧管理の改善が、社会経済的階層別に及ぼす影響は明確ではない。本論文では、44の低・中所得国において、国別の横断的調査から得られた個人レベルのデータを用いて、所得五分位階級にわたって、高血圧ケアカスケードの改善をシミュレーションし、利益の分配を評価した。所得五分位階級全てについて、診断(診断シナリオ)と治療(治療シナリオ)のレベルを、最も成績のよい国別五分位階級と対応するように引き上げ、治療を開始した人の10年間の心血管疾患(CVD)リスクの変化を推定した。その結果、中所得国や高血圧管理のベースライン格差が大きい国では、所得五分位の最低所得層で健康に対するより大きな利益が得られることが観察された。低・中所得国では、この治療シナリオの下で、最低所得層で最大の絶対的利益が得られると考えられ(高血圧の1000人当たり、防止されるCVD症例は、最低所得層〔第1五分位:Q1〕では29.1人であるのに対し、最高所得層〔Q5〕では17.2人)、また、高・中所得国では、両シナリオの下で防止された総CVD症例の割合は、最低所得層で最も大きくなると考えられた(防止された総CVD症例の割合は、治療シナリオが、Q1では32.0%であるのに対してQ5では11.9%。診断シナリオが、Q1では29.7%であるのに対してQ5では14.0%)。対象集団を定めて高血圧の診断と治療が改善されれば、低・中所得国における社会経済的状況に基づくCVD負荷の不平等を大きく低減できる可能性がある。

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