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B細胞リンパ腫:大細胞型B細胞リンパ腫における抗CD19 CAR T細胞療法ないしは化学療法と移植の有効性に及ぼす腫瘍微小環境の影響

Nature Medicine 30, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02754-1

大細胞型B細胞リンパ腫を対象とした二次治療を評価する第3相ZUMA-7試験では、抗CD19 CAR T細胞療法(アキシカブタゲン・シロルユーセル〔axi-cel〕)は、標準治療(SOC、サルベージ化学療法に続く造血幹細胞移植)より優越性があることが示された(NCT03391466)。本論文では、事前に指定された探索的解析として、治療前の腫瘍の特徴とaxi-celやSOCの有効性との関連を調べた結果を報告する。B細胞遺伝子発現シグネチャー(GES)とCD19発現は、axi-cel群では無イベント生存期間の改善と有意に関連していたが(B細胞GESのP = 0.0002、CD19発現のP = 0.0165)、SOC群では関連が見られなかった(B細胞GESのP = 0.9374、CD19発現のP = 0.5526)。axi-celは、B細胞GESおよびCD19発現に関係なく、SOCよりも無イベント生存期間が優れていた(B細胞GESが高い場合のP = 8.56 × 10−9、B細胞GESが低い場合のP = 0.0019、CD19遺伝子発現が高い場合のP = 3.85 × 10−9、CD19遺伝子発現が低い場合のP = 0.0017)。悪性細胞においてCD19発現が低いことは、間質系や骨髄系の免疫抑制性遺伝子からなる腫瘍GESと相関があることから、悪性細胞の特徴と免疫の構成の間の相互関係が、axi-celの転帰に大きな影響を及ぼすことが浮き彫りになった。腫瘍量、乳酸デヒドロゲナーゼ、起源細胞は、axi-celの転帰よりもSOCの転帰に影響を及ぼした。axi-celによる転帰の改善に関連する、T細胞の活性化とB細胞GESは、治療が一次治療から二次治療、三次治療と進むにつれて低下した。これらのデータは、axi-celとSOCに対する抵抗性機構の違いを明らかにしており、より早期のaxi-cel介入を支持している。

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