Article

中枢神経系の免疫細胞:ヒト中枢神経系境界の自然免疫細胞に関するマルチオミクスによる空間的全貌

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02673-1

ヒトの中枢神経系(CNS)の自然免疫区画は非常に多様であり、脳実質によく見られるマクロファージ(ミクログリア)や、脳境界に存在するより少数の脳境界マクロファージ(CAM:CNS-associated macrophage)など、複数の免疫細胞集団を含んでいる。CAMは細胞数が少なく、特定の場所にしか存在しないため、発生中や健康時および障害のあるときに、時間的・空間的に限定されたCAMサブクラスが存在するかどうかは、ほとんど分かっていない。本研究では、一細胞RNA塩基配列解読、飛行時間型マスサイトメトリー、一細胞空間トランスクリプトミクスを運命マッピングおよび高度な免疫組織化学的手法と組み合わせ、102人から得た35万6000を超えるトランスクリプトームを用いて、ヒトCNS境界面での免疫系の特徴を包括的に明らかにした。また、末梢血幹細胞移植を受けた15人の脳において、もともと存在した骨髄系細胞と生着した骨髄系細胞についても包括的に解析し、さまざまなCNS境界面での区画特異的な生着率を示した。解剖学的に得たグリオブラストーマ試料についての統合マルチオミクスおよび高分解能空間トランスクリプトーム解析では、低酸素によって骨髄系細胞タイプの分布に領域的な違いが引き起こされることが分かった。特に、グリオブラストーマに関連する低酸素応答は、胎児のミクログリアやCAMでの生理的低酸素応答とは異なっていた。我々の結果は、ヒトのCNSとその周囲との境界では骨髄系細胞に多様性があることを浮き彫りにし、また、ヒト脳の免疫系が持つ複雑さについての知見を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度