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乳がん:浸潤性乳がんの予後を改善するための集団レベルのデジタル組織学的バイオマーカー

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02643-7

乳がんは不均一な疾患であり、その生存転帰にはばらつきがある。病理医は、乳房組織の顕微鏡像をノッティンガム基準を用いてグレード分類するが、この基準は定性的であり、腫瘍微小環境内の非がん性要素が考慮されていない。今回我々は、乳房腫瘍微小環境の形態についての包括的で解釈可能な特徴付けにより、生存リスクをスコア化したHiPS(Histomic Prognostic Signature)について報告する。HiPSは深層学習を用いて、細胞と組織の構造を正確にマッピングし、上皮、間質、免疫、および空間的相互作用の特徴を測定する。HiPSはがん予防研究II(CPS-II)の集団レベルのコホートを用いて開発され、独立した3つのコホート(PLCO〔前立腺がん・肺がん・大腸がん・卵巣がん〕試験、がん予防研究3〔CPS-3〕、がんゲノムアトラス)のデータで検証された。HiPSは、TNM(tumor–node–metastasis)分類の病期や関連する変数に関係なく、生存転帰の予測において病理医の成績を一貫して上回った。これは、主に間質と免疫の特徴によりもたらされた。結論として、HiPSはロバストに検証されたバイオマーカーであり、病理医を支援し、患者の予後を改善する。

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