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原発不明がん:機械学習を用いた原発不明がんの遺伝学ベースの分類と治療応答予測

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02482-6

原発不明がん(CUP)は、原発部位を突き止めることができないタイプのがんであり、全てのがんのうちの3〜5%を占めている。CUPの標的療法は確立されておらず、一般的に転帰不良となる。今回我々は、3つのがんセンターから集めた22タイプのがんに及ぶ3万6445の腫瘍についての標的化次世代塩基配列解読(NGS)データを用いて訓練した機械学習分類システムであるOncoNPC(Oncology NGS-based primary cancer-type classifier)を開発した。OncoNPCは、ホールドアウト検証用の腫瘍試料に対して、高い予測信頼度(0.9以上)で重み付けF1スコアの0.942を達成し、これは全ホールドアウト用試料の65.2%に相当する。ダナ・ファーバーがん研究所で収集された971のCUP腫瘍にOncoNPCを適用すると、腫瘍の41.2%に対して原発がんのタイプが高い信頼度で予測された。OncoNPCはまた、予測されたがんタイプについて、生殖細胞系列細胞での多遺伝子リスクが有意に高いCUPサブグループや、生存転帰が有意に異なるCUPサブグループも特定した。注目すべきことに、OncoNPCにより予測されたがんに合致した一次緩和ケアを目的とする治療を受けたCUP患者の転帰は、有意に、より良好であった(ハザード比〔HR〕= 0.348、95%信頼区間〔CI〕= 0.210~0.570、P = 2.32 × 10−5)。さらに、OncoNPCにより、ゲノム検査に基づく治療を受けることができたであろうCUP患者を2.2倍増やすことができた。このようにOncoNPCは、異なるCUPサブグループが存在する証拠を示し、CUP患者を管理するための臨床的意思決定を支援する可能性がある。

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