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認知障害:認知障害患者におけるレビー小体病変の臨床的影響

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02449-7

認知障害患者におけるレビー小体(LB)病変の臨床的影響は、特にアルツハイマー病(AD)病変(アミロイドβおよびタウ)と共存している場合については、あまり分かっていない。今回我々は、BioFINDER研究から抽出した認知症専門外来の軽度認知障害もしくは認知症の患者883人を対象として脳脊髄液を解析し、シード増幅アッセイを用いて、LBに関連する異常な折りたたみ構造をとるαシヌクレインを検出した。その結果、23%でLB病変が見つかり、ベースラインでパーキンソン病あるいはレビー小体型認知症の臨床基準を満たしていたのは、そのうち21%だけだった。これらのLB陽性患者の48%が、AD病変を有していた。対象者全体の54%にAD病変が認められた(軽度認知障害患者の17%と認知症患者の24%はLB陽性でもあった)。それぞれの病変がもたらす横断的な影響を調べたところ、LB病変は、幻覚や、注意・実行機能、視空間機能、運動機能の低下と関連していたが、アミロイドβとタウはそれらと関連していなかった。LB病変はまた、調べた全ての認知機能について、より速い縦断的低下と関連しており、アミロイドβ、タウ、認知機能段階、レビー小体型認知症やパーキンソン病のベースライン診断とは無関係であった。LBの状態は、ADバイオマーカーや臨床診断とは独立に臨床経過を予測する、より優れた精密医療手段を提供し、認知障害の臨床管理や、ADおよびLBの治験計画に影響を与える可能性がある。

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