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多発性骨髄腫:再発性/難治性多発性骨髄腫におけるエルラナタマブ ― MagnetisMM-1第1相試験

Nature Medicine 29, 10 doi: 10.1038/s41591-023-02589-w

多発性骨髄腫(MM)は形質細胞悪性腫瘍の1つであり、B細胞成熟抗原(BCMA)を発現する。二重特異性抗体であるエルラナタマブは、MM上のBCMAとT細胞上のCD3を橋渡しする。MagnetisMM-1試験では、エルラナタマブの安全性、薬物動態、有効性を評価した。主要評価項目は、用量制限毒性の発生率に加え、客観的奏効率(ORR)や奏効期間(DOR)とし、これらは達成された。有効性の副次評価項目には、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)を含めた。再発性/難治性MM患者88人がエルラナタマブの単剤療法を受け、また55人の患者が有効用量のエルラナタマブ投与を受けた。患者の前治療数中央値は5で、90.9%がトリプルクラス難治性で、29.1%は細胞遺伝学的リスクが高く、23.6%は以前にBCMAを標的とする治療を受けていた。用量漸増での用量制限毒性は観察されなかった。有害事象には、血球減少症およびサイトカイン放出症候群が含まれていた。曝露量は用量に比例した。追跡調査期間の中央値は12.0カ月で、ORRは63.6%、患者の38.2%が完全奏効以上を達成した。応答者の場合、DOR中央値は17.1カ月であった。微小残存病変が評価可能な13人の患者は、全員が陰性を達成した。BCMA標的治療歴がある場合でも、53.8%に奏効が見られた。患者55人全員のPFS中央値は11.8カ月で、OS中央値は21.2カ月であった。エルラナタマブは、MM患者に対して、持続的な応答、管理可能な安全性、有望な生存期間を達成した。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03269136。

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