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NASH:非アルコール性脂肪性肝炎のための循環血中バイオマーカーの診断性能

Nature Medicine 29, 10 doi: 10.1038/s41591-023-02539-6

危険性の高い非アルコール性脂肪性肝炎(at-risk NASH)は、高い組織学的活性および線維症ステージ ≥ 2のNASHと定義され、肝臓に関連するイベントや高い死亡率と関連するが、現在承認されている診断バイオマーカーは存在しない。米国立衛生研究所財団の代謝性肝疾患の非侵襲性バイオマーカー(FNIH-NIMBLE)プロジェクトは、NASH関連バイオマーカーの規制当局による承認を支援するための、多数の関係機関が関わるプロジェクトである。本論文では、5種類の血液バイオマーカーパネルの診断性能について、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の全範囲が含まれる観察コホート(NASH CRN〔Clinical Research Network〕 DB2)において評価を行った(n = 1073)。これらのバイオマーカーパネルは、危険性の高いNASH(NIS4)、NASHの存在(OWLiver)、あるいは線維化ステージ2以上、3以上、4以上(ELF〔enhanced liver fbrosis〕スコア、PROC3、FibroMeter VCTE)の診断を目的としている。事前に指定された性能の評価基準は、受信者動作特性曲線下面積(AUROC)が0.7以上であること、および、疾患活動性についてはアラニンアミノトランスフェラーゼより優れていること、また線維化の重症度についてはFIB-4インデックスより優れていることであった。複数のバイオマーカーパネルがこれらの評価基準を満たした。危険性の高いNASHについては、NIS4のAUROCは0.81(95%信頼区間0.78~0.84)であった。臨床的に重要な線維化(ステージ2以上)についてはELFスコア、進行した線維化(ステージ3以上)についてはPROC3、肝硬変(ステージ4)についてはFibroMeter VCTEが全て、0.8以上のAUROCであった。ELFおよびFibroMeter VCTEは、線維化の全ての評価項目でFIB-4より性能が優れていた。これらのデータは、危険性の高いNASHに加え、NAFLD患者の線維化の重症度に対するいくつかのバイオマーカーパネルの適格化に向けたマイルストーンになる。

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