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網膜疾患:コロイデレミアの成人男性を対象としたtimrepigene emparvovecの網膜下投与 ― 無作為化第3相試験

Nature Medicine 29, 10 doi: 10.1038/s41591-023-02520-3

コロイデレミアは、まれなX連鎖性網膜変性症で、進行性の視力低下を引き起こす。無作為化遮蔽第3相臨床試験では、コロイデレミアの成人男性患者に対して、AAV2ベクターを用いた遺伝子治療薬timrepigene emparvovecの網膜下注射を高用量(1.0 × 1011ベクターゲノム〔vg〕、n = 69)または低用量(1.0 × 1010 vg、n = 34)で行う群と、治療しない対照群(n = 66)に無作為に割り付け、12カ月間にわたるフォローアップを行って、安全性と有効性を評価した。投薬期間中の有害事象のほとんどは軽度または中等度であった。本試験では、主要評価項目である最良矯正視力(BCVA)の改善は達成されなかった。主要評価項目の解析では、BCVAについて、ベースライン時と比べて12カ月の時点で、ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study)による評価が15文字数以上改善したのは、高用量群では65人中3人(5%)、低用量群では34人中1人(3%)、対照群では62人中0人(0%)であった(高用量群、対照群に対してP = 0.245。低用量群、対照群に対してP = 0.354)。主要評価項目が達成されなかったため、主要副次評価項目の有意性の検定は行われなかった。主要副次評価項目では、BCVAについて、ベースライン時と比べて12カ月の時点で、ETDRSが10文字数以上改善したのは、高用量群では65人中9人(14%)、低用量群では34人中6人(18%)、対照群では62人中1人(2%)であった。コロイデレミアに対する今後の遺伝子治療研究を促進させる可能性のあるポイントとしては、参加登録基準(より良い網膜の保存領域)、手術手技、臨床評価項目の最適化が挙げられる。欧州臨床試験データベース(EudraCT)登録番号:2015-003958-41。

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