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アルツハイマー病:PM20D1はアルツハイマー病と関連付けられる量的形質座位である

Nature Medicine 24, 5 doi: 10.1038/s41591-018-0013-y

アルツハイマー病(AD)の発症のきっかけは、遺伝的リスク因子と遺伝以外のリスク因子の組み合わせから生じ、後者はエピジェネティックな機序によってもたらされるらしい。ADの病状に関連付けられる多数のリスク座位がゲノム規模関連解析(GWAS)によってこれまでに見つかっているが、因果関係を確立することは難しい。それとは対照的に、座位特異的もしくはエピゲノム規模の関連解析(EWAS)では、部位特異的でエピジェネティックな変化が明らかにされており、特定のリスク遺伝子について機構的な手掛かりが得られているが、GWASほどの検定力を欠いていることが多い。我々は、これら2つの手法を組み合わせて使い、PM20D1(peptidase M20-domain-containing protein 1)とADとのこれまで知られていなかった関連を明らかにした。PM20D1は、メチル化および発現に関する量的形質座位で、AD発症リスク関連ハプロタイプと連動していることが分かった。この座位はエンハンサー様の性質を示し、ハプロタイプ依存性でCCCTC結合因子が関わるクロマチンループを介してPM20D1プロモーターに接触している。さらに、ADのAPP/PS1マウスモデルおよび非リスクハプロタイプのキャリヤーであるAD患者では、症状が出現した段階でADに関連する神

経毒性による損傷が起こった後、PM20D1が増加する。これと一致して、PM20D1発現を遺伝学的操作により増加させるとADに関連した病状が軽減し、発現を減少させると症状が悪化する。これらの結果から、特定の遺伝的背景では、PM20D1はADに対して神経保護的に働いていると考えられる。

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