Article

メトホルミン:メトホルミンの臨床効果には腸内微生物相と腸内FXRが関わっている

Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0222-4

メトホルミンの血糖降下作用は、肝細胞のシグナル伝達過程へのメトホルミンの直接的な作用が肝臓での糖新生低下につながることで引き起こされると考えられている。最近、メトホルミンがヒトで腸内微生物相の微生物群集を変化させることが報告され、メトホルミンの血糖降下作用は腸内微生物相の微生物集団を調整した結果である可能性が示唆されている。しかし、メトホルミンの代謝への有益な影響に関連する宿主標的や微生物の重要なシグナル伝達性代謝産物は明らかになっていない。我々は、新たに2型糖尿病(T2D)と診断された患者で、初めてのメトホルミン投与を3日間にわたって行った後に採取した試料のメタゲノム解析とメタボローム解析を行った。その結果、腸ではBacteroides fragilisが減少して、胆汁酸のグリコウルソデオキシコール酸(GUDCA)が増加することが分かった。このような変化は腸のFXR(farnesoid X receptor)シグナル伝達の阻害と同時に生じた。さらに、B. fragilisを定着させたマウスに高脂肪食(HFD)を摂取させると、より重度の耐糖能異常を起こしやすくなり、メトホルミン投与の耐糖能異常に及ぼす代謝的効果が消失することが分かった。GUDCAはまた、肥満が確立されたマウスで腸のFXRアンタゴニストとして働くことが見いだされ、さまざまな代謝エンドポイントを改善することが分かった。従って、我々はメトホルミンの一部はB.fragilis–GUDCA–腸内FXR軸を介して作用して、高血糖を含む代謝機能障害を改善していると考えている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度