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HIV:エイズウイルスの全身的負荷を決定し、その治癒戦略への影響を明らかにする

Nature Medicine 23, 11 doi: 10.1038/nm.4411

HIV感染の機能的治癒もしくは完全治癒を追求するならば、治療中断後の感染リバウンドの原因となるリザーバーのサイズを知らなくてはならない。そのため、我々は感染非ヒト霊長類の組織および感染患者のリンパ組織(LT)生検標品を用いて、SIVおよびHIVの組織負荷を測定した。抗レトロウイルス療法(ART)開始前では、SIV RNA+およびDNA+細胞の98%以上がLTに含まれていた。ARTを行っていくと、ウイルス(v)RNA+細胞の数は大幅に減少したが、まだ検出可能であり、その持続性はLT中の薬剤濃度が末梢血中に比べると相対的に低いことと関連していた。ARTの延長もSIV-およびHIV-DNA+細胞のレベルを低下させたが、組織中の残存負荷のサイズはvDNA+細胞108個と見積もられた。この中には複製能を持つプロウイルスが含まれる可能性があり、ARTを行っていてもLTではウイルス産生が持続することを示す証拠とともに、治療中断後のリバウンドに2つの重要なウイルス供給源が存在することが明らかになった。これらの組織リザーバーのサイズが大きいことは、ウイルス産生につながる複数の供給源を標的にする「HIV治癒」戦略の開発が非常な難問であることをはっきり示している。

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