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がん:多層性ロゼットを有する胎児性腫瘍のマウスモデルはソニックヘッジホッグ阻害剤が治療薬となる可能性を明らかにしている

Nature Medicine 23, 10 doi: 10.1038/nm.4402

多層性ロゼットを有する胎児性腫瘍(ETMR)は、まれな小児脳腫瘍の新たな疾患単位として最近報告されたもので、転帰は致死的である。今回我々は、ETMRはShhおよびWntシグナル伝達の同時活性化を特徴とすることを示す。マウスでは神経前駆細胞でのこれらのシグナル伝達経路の共活性化だけで、in vivoでETMR様の腫瘍が誘導され、こうした腫瘍は対応するヒト腫瘍に類似することが組織学的研究と包括的な遺伝子発現解析に基づいて確認され、頂端側の放射状グリア細胞が腫瘍細胞の起源らしいことが示された。ヒトETMRの特徴であるLIN28Aの過剰発現は、これらの前駆細胞でlet7-miRNAの発現低下を介してSonic-hedgehog(Shh)とWntシグナル伝達を増強し、LIN28A/let7aのShh経路との相互作用がGlimRNAレベルで検出された。さらに、免疫不全宿主マウスへ移植されたヒトETMR細胞は、SHH阻害剤である亜ヒ酸(ATO)に応答性を示した。我々の研究はこの腫瘍タイプを研究するための新規なマウスモデルを提供するもので、ETMRの増殖ではWntとShh活性化が駆動的役割を持つことを実証し、Shhシグナル伝達の下流での阻害がETMR患者の治療選択肢になることを示している。

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