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早期陣痛:脱落膜B細胞でインターロイキン33が誘導するPIBF1の発現は早期陣痛を防ぐ

Nature Medicine 23, 1 doi: 10.1038/nm.4244

早産(PTB)は、世界中で新生児死亡の主要な原因となっている。早産に先行して起こる自然早期陣痛(PTL)の30〜40%は、子宮内や全身の感染や炎症によって引き起こされる。抗体産生は感染に対する主要な免疫防御機構であり、B細胞の機能不全が早期陣痛に関連する妊娠合併症に関わることが示されているが、妊娠中のB細胞の機能はよく知られていない。我々は、自然早期陣痛を経験した女性の絨毛脱落膜には機能の変化したB細胞集団が含まれることを見いだした。B細胞欠損マウスは、野生型(WT)マウスに比べて炎症後の早期陣痛をずっと起こしやすかったが、B細胞はインターロイキン(IL)10非依存的な早期陣痛に対して防御的に働いた。マウスでのB細胞欠損は、活性型PIBF1(progesterone-induced blocking factor 1)の子宮内レベルを低下させ、またPIBF1の治療目的での投与はB細胞欠損マウスで早期陣痛と子宮の炎症を軽減した。B細胞は、妊娠後期におけるヒト絨毛脱落膜およびマウス子宮でPIBF1を産生する重要な細胞である。B細胞によるPIBF1発現は、粘膜のアラーミン(自然免疫誘導因子)であるIL-33によって誘導される。ヒトの早期陣痛は、絨毛脱落膜B細胞上のIL-33受容体α鎖の発現低下と妊娠後期の絨毛脱落膜での活性型PIBF1のレベル低下と関連していた。これらの結果は、IL-33、脱落膜B細胞およびPIBF1が関わり妊娠期間の安全保障に働く重要な調節カスケードを明らかにし、ヒトでの早期陣痛を防ぐためのIL-33およびPIBF1に基づく新たな治療方法を示唆している。

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