Resources

免疫:細菌と真菌に対するサイトカイン応答の個人間のばらつきと遺伝的影響

Nature Medicine 22, 8 doi: 10.1038/nm.4139

さまざまな病原体に対する健常者のサイトカイン応答の個人間でのばらつきについてはほとんど知られていない。異なる病原体によって誘発されるサイトカイン応答を体系的に記述し、遺伝的変動がサイトカイン産生に及ぼす影響を決定する目的で、我々はヒト機能ゲノミクスプロジェクト(http://www.humanfunctionalgenomics.org)での200 Functional Genomics(200FG)コホートに由来するヨーロッパ出身の197名に由来する末梢血単核球によって産生されたサイトカインを調べた。細菌や真菌によって誘導されたサイトカイン発現プロファイルの比較が行われ、大部分のサイトカイン応答は決まった免疫経路やサイトカインに基づくのではなく、特定の病原体に対する生理的応答に基づいて構成されていることが示された。我々は次いで、ゲノム規模での一塩基多型(SNP)の遺伝子型とサイトカイン存在量を比較し、6つのサイトカイン量的形質座位(QTL)を明らかにした。そのうち、NAA35-GOLM1座位にあるサイトカインQTLは、多数の病原体に対するインターロイキン(IL)6産生に顕著な影響を及ぼし、カンジダ血症に対する感受性と関連していた。さらに、我々が明らかにしたサイトカインQTL群は、感染症や心臓疾患と以前に関連づけられたSNPと共に局在していることが多かった。これらの結果は、病原体に対する応答の際にヒト免疫細胞によって起こるサイトカイン産生のばらつきを明らかにし、その解明の始まりとなるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度