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抗がん剤:RANKリガンドはBRCA1変異キャリアでの乳がん予防のための標的候補である

Nature Medicine 22, 8 doi: 10.1038/nm.4118

乳がん感受性遺伝子BRCA1に変異がある女性(以下、BRCA1変異キャリアとする)では、乳がん発症リスクをできるだけ小さくするために、予防的な乳房切除手術を受けることがしばしば見られる。そのため、効果的な予防的治療法の発見は、この分野でずっと以前から探索されてきた。前がん状態にあるBRCA1mut/+組織は異常な管腔前駆細胞集団を含み、プロゲステロンシグナル伝達の脱制御がBRCA1に関連した発がんに関与するとされている。TNFSFS11(tumour necrosis factor superfamily member 11、別名RANKL)はプロゲステロンシグナル伝達の重要なパラクリンエフェクターであるという知見、またRANKLとその受容体TNFRSF11A(別名RANK)が乳腺の腫瘍形成の一因となるという知見を組み合わせて考察した上で、我々はBRCA1変異キャリアの前腫瘍期におけるこのシグナル伝達経路の役割を詳細に調べた。BRCA1変異キャリアの組織学的に正常な乳腺組織で、我々は2種類の管腔前駆細胞サブセット(RANK+とRANK)を見つけ出し、RANK+細胞は増殖性が高く、DNA修復に著しい異常があり、basal-like乳がんと類似した分子シグネチャーを持つことを明らかにした。これらのデータから、RANK前駆細胞ではなく、RANK+前駆細胞の方が変異キャリアにおける標的細胞集団であることが示唆された。前腫瘍状態のBRCA1mut/+組織に由来する三次元乳腺オルガノイドで、RANKLシグナル伝達をデノスマブ投与によって阻害すると、プロゲステロン誘発性の細胞増殖が減弱した。特に、デノスマブ投与を受けたBRCA1変異キャリアの乳腺生検試料では細胞増殖が著しく低下した。さらに、Brca1欠失マウスモデルでRANKLを阻害すると、乳房での腫瘍形成がかなり縮小した。まとめると、これらの知見はBRCA1変異キャリアの起源細胞集団候補で治療標的になりうる経路を特定したもので、RNKLの遮断が乳がん発症防止の有望な戦略であることを示唆している。

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