Letter

糖尿病:齧歯類では繊維芽細胞増殖因子1の中枢内投与が糖尿病性高血糖の持続的寛解を誘導する

Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4101

2型糖尿病(T2D)は世界的に、最もよく見られかつコストが大きい病気の1つである。T2Dに対する現在の医学的管理の目標は、1種類あるいは数種類程度の糖尿病治療薬の連日投与による高血糖状態の一過的低減である。低血糖と体重増加は、この治療法のよく見られる副作用であり、持続的疾患寬解は非外科的治療では達成できない。脳の繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体の活性化によって強力な血糖低下応答が引き起こされるという観察結果に基づいて、我々はFGF1の中枢内投与の抗糖尿病効果について調べた。FGF1は他のFGFペプチドとは異なり、全てのFGF受容体サブタイプを活性化する。本論文では、末梢への注射によって抗糖尿病効果が得られるのに必要なFGF1量の10分の1を脳室内に単回注射すると、T2Dのマウスおよびラットモデルで糖尿病の持続的寛解が誘導されることを報告する。この抗糖尿病効果は体重減少から派生するものではなく、低血糖リスクの増大は見られず、血流からのグルコース除去の増大には新規で完全には解明されていない機序が関わっている。我々は、脳には糖尿病の寛解を引き起こす本来的な能力が備わっていて、脳のFGF受容体は寛解という目標を達成するための薬理学的標的候補であると考えている。

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